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 みんなでさようならの挨拶をすると、マグお姉ちゃんはそのまま一人で先に教室を出て行った。

 星組の教室の中にはメテオラたち三人だけが残された。

「メテオラくん、お昼ご飯どうする? いつもみたいに食堂で食べていく?」ニコラスが言った。

「そうするつもりです」メテオラは答える。

「アネットさんも食堂で一緒にお昼ご飯食べる?」ニコラスが言う。

「あ……、いえ、私は……、その……」アネットは言葉に詰まった。

「実は、このあと私、少しだけ用事があるんです。……ごめんなさい」

 アネットはそう言ってメテオラとニコラスに頭を下げる。

「いえ、別に構いませんよ。仕方のないことです。また今度、一緒にご飯を食べにいきましょう」とメテオラは言った。

「はい。よろしくお願いします」

 アネットはそう言うと、また二人に頭を下げてから、急ぎ足で荷物を持って一人で教室を出て行ってしまった。

「残念でしたね」メテオラが言った。

「……うん」

 本当に残念そうな顔でニコラスが言った。

 それから二人は魔法学校一階にある食堂に移動した。長い螺旋階段を降りる際のニコラスの背中はなんだかとても寂しそうだった。

 食堂に到着すると、いつも通り、食堂はとても混雑していた。

 魔法学校一階にあるこの森の食堂は魔法学校の関係者のみならず、森に住む魔法使いであれば、全員が利用できる施設だった。ほとんどの生徒たちは食堂でお昼ご飯を食べる。お弁当派は本当にごく一部の生徒に限られていた。

 二人はお昼ご飯を注文する列に並んで自分たちの順番を待った。自分たちの番が来ると、メテオラは森の幸うどんを、ニコラスは野菜カレーを注文した。

 値段はどちらも銀貨一枚だった。

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