17

 メテオラはそれから肩掛けカバンの中から一冊の魔法書を取り出すと、いつものようにそれを読みながら一人で魔法学校に向かって森の中の小道を歩き始めた。

 メテオラの取り出したその魔法書には『浮力の魔法入門』という題名が書かれている。

 その魔法書はなんども読み返したことでぼろぼろになってしまったのだけど、メテオラが魔法学校入学したことを記念してマグお姉ちゃんがメテオラにプレゼントしてくれたとても大切な魔法書だった。

 もうほとんど暗記してしまっているその文字をメテオラは今日も読み返しながら魔法学校へと向かうのだった。

「メテオラくん!!」

 それからしばらく森の小道の上を歩き続けていると、突然、後ろのほうからメテオラの名前を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。

 メテオラが読んでいた魔法書から顔をあげて後ろを振り返ってみると、そこには小道の上を小走りでこちらに向かって近づいてくる一人の小柄な魔法学校の生徒の姿があった。

 その生徒は大きなとんがり帽子を頭にかぶり魔法学校の制服を着てその上に黒いローブを羽織っている。手には魔法の杖を持って、肩には白い肩掛けカバンをかけている。

 その姿はメテオラとまったく同じで、空を飛び魔法学校に通っている生徒とも同じ服装だったのだけど、その生徒にはメテオラや他の大多数の魔法学校の生徒たちとは決定的に違う外見的な特徴があった。

 それはその生徒の髪の毛の色と瞳の色だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る