えぴそーどおぶぬこ

 田舎に舞い戻ったので、ふと竹内緋色ととあるぬこ物語を一つ。


 竹内緋色は傷心の中、とある田舎に引っ越した。

 父親と母親が離婚し、父親と兄弟みんなで父親の祖父母の家に引っ越したのだ。

 その時の竹内緋色は、大分えげつなかった。何もかも信じられず、仲良くしてようとしている転校先の子を拒絶した。


 そんな中、ちょっとだけ竹内緋色の心を溶かしてくれたのは一匹のぬこだった。


 そもそもぬこという生物と竹内緋色のファーストコンタクトは最悪だった。

 親からぬこアレルギーだから近づくなと言われて近づかなかったのに、何故かズボンの裾にちょけられ、引っかかれ、マジでぬこ怖い、という感じだったので、竹内緋色は引っ越してもぬこに触れようとは思わなかった。

 そんなある日、とある一匹の恐らくシャムぬこが竹内緋色の手をなめてきたのだ。ざらざらの舌で。初めは何故か分からなかったが、とにかく頭を撫でてみた。

 気持ちよさそうというわけではなく、どちらかというと、お前が撫でるのが当たり前だといった態度である。しかし、その後彼女と私は体で触れ合う関係となった。


 彼女は気高く、そのくせ、甘えん坊であった。何故だか竹内緋色に無駄に甘えてきたときもあって、まあ、発情期なのだろう、でも、竹内緋色ではどうにもならないから困るなぁ的な感じだった。気高く美しく、それでいて女だった彼女は私と同い年くらいだと言われるも、いや、多分もうちょっと若いなとは思っていた。


 後年、私が20の時まで生きていたので、多分15歳くらいだろうと言われるようになったものの、といった感じである。


 大学へ進学して彼女と会う機会が減った私は、彼女に死に目に会えなかった。

 寂しかった少年竹内緋色の心をいやしたぬこはこの世から去っていってしまった。

 しかし、彼女の死に目に会えなくてよかっただろうと私は思っている。

 彼女は私を恨んだだろうか。しかし、最後は気高く、お前には死ぬ姿を見せない、と思っていたかもしれない。女であり、気高いぬこであった彼女は一体どちらを選んだのだろうか。


 その後、実家には二匹のぬこが住んでいる。

 一匹は多分もう1歳以上はいっている、メスにしては顔の大きな黒白のぬこ。

 もう一匹はまだあどけない子どものぬこ。

 白黒の方を弟くんと竹内緋色だけ呼んでいるが、彼女はすっごく人見知りだった。多分、CVは小倉唯。

 もう一匹は死ぬほど活発で、何故か家族の肩に飛び乗るのを天職と考えている。食い物をねだる訳でもなく、何故か飛び乗る。バカと煙は何とやら、ということか。


 無事卒業できれば、地元で就職が決まったので、実家暮らしとなる。

 彼女らと仲良く暮らしていければとは思う。


 でも、なんで竹内緋色が帰っている時になって発情するんだよ。

 面倒ったらありはしない。


 以上、竹内緋色でした!

 ハッピーハロウィン!

(意地でもあけましてとか言いたくない)

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