遺言日記

@manza

第1話 はじまりの声

昨日6月15日、俺の耳元で男の声が聞こえた


声というのは

何かを喋っているものではない


いきなり耳元で



「おい!!」


という何か叱るような感じの声がした


その時周りには誰もいない


俺はその時

会社の大きなクレーンの電気室内にいた


このクレーンには自分1人しかいない



どこか聞き覚えのある声だった


いきなり耳元で大きな声で叫ばれたら

誰でもびっくりすると思う


でも、その時は違った


なんていうか


すごい恐怖感が湧いた


なんでだろう


まぁ確かに叫び声が聞こえたら

恐怖心も湧くだろうけど


何か違う恐怖心



人間っていつか死ぬんだよな

俺もいつか死んじゃうんだよなぁ


そんなことを考えているような恐怖心



この恐怖心は心から消えない


今もずっと俺は

あの声に怯えている



その日、俺は家に帰って何もすることなく

すぐ寝床についた



その時変な夢を見た



あの昼間に聞いた叫び声が

だんだんと言葉になっていった


俺は最初「おい」と聞こえていたが

そうじゃなかったんだ


確かに夢の中で聞いた


殺すって


俺は飛び降りるようにベッドから起き

放心状態のまま朝を迎えた




その日から僕はこの遺言を書き続ける


僕は近いうちに死ぬかもしれない

同じ恐怖を味わっている人に出会うかもしれない



僕は死にたくない


誰か助けて


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る