BLUEMAP FANTASY-青い世界の物語-
石榴石/フォロバ率90%☆
第一章~囚われの少女~
序幕『光』
「運命」とは何か?
――それは、”出逢い”によってはじまり、動き出す。
一人の少年と少女が出逢うのは「運命」の導きなのだろうか。
――ここから、動き始める物語。
第一章~囚われの少女~
序幕『光』
「お姫様。お前をさらいに来た――」
それは、夜の朝日、といえばいいだろうか。
闇は、生まれて初めて『光』を浴びた。
息もできない程の爆風が、少女の髪を彼方へと連れてゆく。
その髪は、異様なくらいに長かった。
眩い光と風を受け、薄桃色の髪は宙を泳ぐ。
赤の瞳は瞬きを忘れ、足は力を失い、
床に座り込んだまま動けなくなっていた。
そもそも何が起こったのか、少女には見当もつかなかった。
起こっている事は一体何か、今のこの感情に名前があるなら、
教えてほしい――
光というものは皆無――窓のない部屋。
ここは、分厚く固い石壁に閉ざされた部屋だった。
少女はこの、常夜の世界のなかで囚われるように、暮らしていた。
この部屋の暗闇を、生きる世界の全てだと信じていたのだ。
それは一瞬にして、爆音とともに
まさに、青天の
夜に太陽の光が差し込んでくるかのような、
予想もつかない出来事だったのだ。
少女の目の前に浮かぶのは、黒い人影。
立ち込める煙の向こうに何者かがいる。
得体の知れない感情が湧いてくる。
――恐怖や絶望の類だろうか。
突然の出来事に言葉など出るはずもない。
分厚かった壁が一瞬で吹き飛び、少女の世界は反転した。
何かが爆発した音に驚くのは、当然だ。
驚くなというほうが無理な話である。
打ち震える少女に、人影は手を差し伸べた。
「俺は、お前を解放するために来た」
男の声とともに黒いマントの姿が見えると、
起こっている事が何かなど、
少女にとってはもうどうでもいいことだった。
少女の瞳は、赤色の宝石のように光を湛えたまま、
目の前の人物から逸らされることはない。
これから起こる出来事に対する、
期待と希望しか見えないような表情だ。
――この景色を、夢にまでみたのだから。
「この手を取るかどうか、お前が決めるんだ」
少女に意思を問う。
「自由が欲しいか? それとも――」
その問いに対する答えは、
次の言葉を聞くまでもなく決まっているだろう。
――
巡り合わせか、悲劇か。
導かれた二人の運命は、希望か絶望か。
それを決めるのは、物語の結末次第。
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