3話 原始惑星


 そこは白いランダムな模様に包まれた惑星があった、陸地と思われる場所は一面緑色をしている、その周辺には濃い青色が見えた。

 おそらく雲・森・海で問題ないだろう、これなら滞在が可能なはず。


 少しずつ近づきながら惑星を周回して様子を確かめる。

 陸地と思われる部分は9割以上緑に覆われている、平野と呼ばれる部分が無く海との境界まで森林が続いていた。


 恒星の光が当たっていない夜の部分に差し掛かる、惑星を囲うようにリング状の光が周囲を包んでいるが惑星自体のからの光は無い、どうやら光を出すほどの文明は無いようである。


 暗闇の部分を通過し最初の地点に戻る、そこからさらに惑星に接近してみる。陸地を詳しく観察してみるが木が生い茂っているだけで、動く気配が感じられなかった。


「原住民は居ないようだな、むしろ動物すら居ないようだが・・・

 よし降りるか、進行方向が見やすいように操縦席から機体を動かそう」


 浮いている体を動かし前方へ移動させる、操縦席への扉を強引にこじ開け中に入り前方を見ると、目の前のガラスはすべて割れていて、操縦席の椅子には誰も座っていない。


「あ、パイロットが居るのを忘れていた・・・・」


 宇宙に飛行機が放り出された時に気圧の差でガラスが全部割れ宇宙空間に放り出されたようである、振り返り操縦席から出て扉を閉める。


「よし、俺は何も見なかった」


 緊急事態で自分の周囲しか頭に入っておらずパイロットの存在に気づけなかった、まぁ終わってしまった事だし気にすることはない。

 では着陸するための準備に取り掛かる、現在空中に浮いている三人の女子の安全を確保しておこう、体を能力で移動させ椅子に座らせシートベルトで固定する。


 俺も座席に座り意識を集中させる。

 機体の進行方向を惑星方向に向けその状態でスピードを上げると、惑星の球体が徐々に大きくなっていき円の輪郭が窓から見えなくなった。

 下に雲が近づくところで速度を落とし陸に近づいていく。


 陸地の上空をしばらく旋回してみたが着陸に必要な平地が無い。

 やもえず適当な場所で機体を静止させそのまま木々をなぎ倒し強引に陸に降り立つ、飛行機の下には倒れた気が横倒しになり飛行機を上手い事支えてくれていた。


 窓の外から様子をうかがうと木々をなぎ倒して着陸したせいか大量の土煙が上がっている、機体に新鮮な空気が流れているのを感じ成分を調べる。


 酸素に窒素と二酸化炭素が主成分で、比率は地球とは違うようだ酸素が多く二酸化炭素が少ない、そしてアルゴンが無い。

 何気なく飛行機の中を見回すと椅子に座っている人が三つ。


「呼吸できるか実験するか・・・」


 三人のシートベルトを外しサイコキネシスを使い体を浮かせ一人ずつ搭乗口から外に出し最後に俺が外に出る。

 地面は倒された木々が地面に無数に転がっている、適度な隙間を見つけ三人を横に寝かせ外気を遮断していたバリアを解除した。

 しばらく見ていたが苦しむ様子はないが念のために少し時間を置くことにする。


 その間に周辺の調査をして安全を確保しよう。

 まず浮遊して100mほど上空から周辺を観察する、360度地平線案で森林が広がっている、目を閉じ意識を集中し生き物の気配を探す。

 生き物の気配が感じられない、どうやら生命は存在しないようだ。


 そのまま下降し地上に降り立つ、倒れている木を見ると年輪が無いどうやら四季が無いようだ、熱帯雨林か・・・


 森の中に入って行く、木は40mほどあり幹も太い木と木の間隔も狭く光があまり差し込んでこず森の中は薄暗かった。


 木に巻き付いている植物が主で地面は土が見え所々に背丈の短い草が草が生えている、これはオオアレチノギクに似ている、何故か勝手に生えてくるその雑草、ここでも健在か・・・


 食べれそうなものが無いな、上を見上げたが木には実すらなっていない。

 これは長居は出来ないな、もう少し奥に行って調査したいところだが、まずはあの3人の容態を見に行こう。


 3人の顔色をうかがう、苦しんでいる様子もなく口に手を当て呼吸を確認するときちんと息をしているようだ。そのまま自分に掛けている外気遮断バリアを解き深呼吸数する。


「まったく汚染物質の無い新鮮な空気だ、こいつらが起きるまで休憩でもするか」


 近くの倒れている手ごろな太さの木に向かって歩いていき腰かける、ポケットから煙草を出し火をつけ勢いよく吸いこみ吐きだす。

 前方に見える横たわる3人の女子、起こすか? 起きるのを待つか?


 体を触って起こすとあとで問題になるといけないので待つことにした。

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