7話

「朱里、俺....俺もお前のことが好きだ!」



「....え?」



「なにそれ、両思いだったってこと? 

それなら私は貴方なんか興味ないわ。お幸せに」



「ちょ、まっ....」



女の子があっけなく私たちの前を去っていくから、ビックリした。

てっきりまた攻撃してくるのかと思ったから。



って、あれ? 今、黒炎君....。



「お前のこと好きだって、もしかしなくても私?」



「....お前以外に誰がいるんだよ」



そういって、そっぽを向く黒炎君。

見れば、耳も顔も茹でだこのように真っ赤だった。



「でも、どうして?アカリちゃんが好きなんじゃないの?」



「アカリのことは確かに好きだぞ。だけど、リアルの女を好きになったって良いだろ」



「んん?」



その区別はついてたんだ。てっきりリアルとゲームがごっちゃになってるとばかり。



「あれ、でもリアルは捨てたって....」



「あれはお前が乙女なんちゃらのミカなんとか? を好きだって言うから....それなら諦めるしかねぇかなって」



「え....」



あー、中学時代のことね。私の黒歴史のせいで、黒炎君は私のことを諦めるはめに。



「私、ゲームキャラとしか思ってなかったよ?」



「....は?」



こちらもまたビックリ。

互いにゲームキャラを本気で愛していると勘違いをしていたらしい。



「私は中学時代からずっと黒炎君が好きだったよ。確かにゲームキャラにもハマってたけど、それはそれっていうか....それにゲームキャラだと触れられないし」



「それは....俺も同じこと考えてた。朱里のこと好きだ。あのゲームだって朱里と同じ名前のキャラがいるから購入しただけで」



「待って、そのわりにゲームキャラのアカリアカリ言ってたじゃん」



「それは....ずっとしてたら愛着沸くだろ?」



「もう....ふふっ」



「ははっ」



黒炎君の言葉が理解出来てしまう私はつい笑みがこぼれてしまう。



「改めてお前に告白するぞ。俺、柊黒炎は霧姫朱里のことが世界で一番好きだ」



「私も黒炎君を世界で一番愛しています」



「....っ」



「うっ....」



面と向かって告白をしたせいか、恥ずかしくてまとも目を合わせられない私たち。

でも、これで晴れて両思い。



「昼休みも終わるし、そろそろ教室に戻るぞ....朱里」



「う、うん!」



手を差し伸べてくれたので握り返す私。

それは、恋人になって、はじめて手を繋いだ日。

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