決別編

Episode5 再会

 夏休みも終わりに近づいた頃、私は2駅離れた街に買い物に行った。

 帰りの電車に乗った時、私は、ふとスマホを見た。

 すると、「着信がありました」という表示がディスプレイにあった。

 ホーム画面の電話アイコンをタップすると、

 一面、「お母さん」の文字で埋めつくされていた。

 急いで電話をかける。

 3コールほどして、お母さんが出た。

「もしもし!! どうしたの!?」

『…………お父さんが来てる。知らない男の人と一緒に』

「……え?」

『今どこ?』

「帰りの電車に乗ったとこ。 もうすぐ着く」

『わかったわ。車で迎えに行くから、駅の前で待ってて』

「うん、わかった」

 そこまで言うと、お母さんは電話を切った。

 それからすぐ駅に着き、私は走って駅を出て、お母さんの車に飛び乗った。


 家に着くと、玄関には見覚えのあるボロボロのサンダルと、見覚えのないピカピカの革靴があった。嫌な予感がする。

(このサンダル、まさか……)

 その時「幸奈!」と聞き覚えのある声がした。

 嫌な予感は当たっていた。

 サンダルの持ち主────お父さんがリビングから出てきたのだ。

「……嘘、何で……?」

 お父さんとは離婚したはず。なのに、なぜ、ここに!?

「そんな事気にするな。早く来い」

 私はお父さんに引きずられるようにしてリビングへ入った。

 椅子には、見るからに高そうなスーツに身を包んだ男が座っていた。年は25、6といったところだろうか。

 私が椅子に座ったとたん、

「幸奈ぁ、お父さんはさみしかったぞぉ! 幸奈も寂しかったよなぁ? そうだよなぁ!?」

 とまくし立ててきた。

「え? え?」

 呆気あっけにとられた私はそれしか言えない。

笛吹うすいさん、そのくらいにした方がいいですよ。 お嬢さんが驚いてしまっていますから」

 スーツの男が口を開いた。

「初めまして、幸奈さん。私は西園寺さいおんじリヒトと申します。

──あなたの夫となる者です」

「……………………え?」

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