#019 伝統を継ぐ者

 はじめに、いつもの補足をしておきますが、私は対象年齢が低そうな安直な作品を否定しておりません。




 さて、年の瀬となりましたが…、私は毎年、除夜の鐘を突きに行っていました。そう、行っていました。物心ついた時から、雪の日も、雨の日も…、毎年欠かさず除夜の鐘を、年の締めくくりに突いていました。


 私は別に、信心深い人間ではありません。むしろ、行事や宗教はノーサンキューな人です。新年はおろか、自分の誕生日すら祝う気がなく、死んだ後は葬式は無しで、墓にも入れないでほしいと本気で思っているくらいには無信心です。


 しかしそれは、あくまで私の考えであり、他人が行事や宗教に参加することを否定してはおりません。


 では、なぜ除夜の鐘は特別なのか? いや、そもそも特別な気持ちはありません。毎年続けてきたので"何となく"続けているだけ。除夜の鐘を突きに行くと〇白やガ〇使のラストが見られなくなりますが…、それらにも興味が無い私にしてみれば、そのオチよりは除夜の鐘の方が有意義に感じるので、行くだけです。




 そんなわけで続けてきた鐘突きですが、去年、その記録は止まりました。いや、行くには行ったのですが…、やっていなかったんですよ。鐘突きが。


 いつものようにお寺に向かうと、恒例の大きな焚き火が無く、ライトも灯されていませんでした。周囲には私と同じように、中止を知らずに集まった近隣のお年寄りや家族連れが、真っ暗な境内で、真っ暗な鐘を囲み、一様に困惑の表情を並べていました。


 その年、お寺の管理が代替わりして『年越しの鐘突きはやらない』事になったそうです。別に、お寺が潰れたとか、クレームが凄かったなどの話は聞きませんでしたが…、どうも新しい住職の人がそう決めたそうです。


(どうでもいいけど、それって仏教の規律的に、自由に中止しちゃっていいものなの?)


 つまりは、そんなわけで、物心ついてから欠かさず続けている習慣が、その日、個人的な都合で無くなりました。




 いきなりこんな話をして、何が言いたいかと言えば…、ファンタジーモノでは、こういった展開はよくあるって話です。


 シキタリに縛られる村娘や貴族のヒロインを助ける感じのヤツです。


 物語では主人公視点なので、シキタリの悪い部分ばかり見えており、最終的に都合のいい形で『めでたしめでたし』してしまいますが…。


 私はこの手の展開は大っ嫌いですね。本人が一時的にも納得しているなら、よそ者がしゃしゃり出てきて主人公(読者)の承認欲求をみたすためだけに踏みにじられるシキタリや伝統。


 短絡的に仮初の力を振るってイキるしか能のない主人公バカより、貴族として政略結婚をして、家や政を守る方が、よほど重要なことだと思います。




 あいかわらずバッサリ言っちゃってますが、最初にも言った通り、そう言った『無責任に野生動物にエサをあたえる』とか『破格値で回復アイテムをバラ撒いて市場を崩壊させる』などのような、実際にやったら多くの人が不幸になる"愚行"を作品に取り入れる事を、私は否定していません。


 結局、世界観や対象年齢などで基準は変動しますからね。


 でも…、愚行を愚行と理解しないで作品に取り入れる。それは間違いなく愚行であり、その作者は愚かだと思います。




 私も、書いている作品の中でそう言った局面になることはあります。そんな時どうするか?


 私の作品では、基本的に主人公はヒロインを助けません。間接的に助力して、ヒロインが自ら"決断"して、"自力"で解決できるよう促します。あとはまぁ、敵や脇役に愚行をしてもらって、主人公がそれを正すパターンが多いですね。こちろん例外はありますが。


 作品の主人公は『=読者』であり、基本的には負けたり失敗したりするネガティブな展開はマイナス評価になります。しかし『安直な正義でお手軽に肯定されたい』という欲求も確かに存在しており、なにより投稿サイトのメインユーザーはソコなのです。


 よって、計算した上で主人公にそれらの行動をとらせるとか、配役や見せ方で、上手く、相反する部分に折り合いをつける。これもまた、書き手の大きな課題だと思っています。


 もちろん、色々な書き手がおり、色々な考えがあるので、私の考えが"絶対正しい"というつもりはないですが…、出来れば共感してくださる方が多いと、嬉しいですね。




 えっと、相変わらず取り留めもなく好き勝手に語ってしまいましたが…、ここはそういう場所なので、ご容赦ください。っと言ったところで、今回は失礼します。

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