小さな違和感

  ワシントン州 ハリソン夫妻の自宅 二〇一五年八月八日 午後四時三〇分

 そんなモヤモヤとした気持ちを抱きながらも、手を洗い終えたフローラは台所へ向かい夕食の支度を始める。フローラは普段早くても午後五時過ぎに帰宅することが多いため、今日はゆっくりと夕食の支度が出来る。

 何を作ろうか考えながら冷蔵庫の野菜室を開けるフローラ。何気なく野菜室を開けたフローラだったが、そこである違和感を覚える。

『あら? 野菜室に袋詰めしていたはずだったと思うけど、わね。せっかくジャムを作ろうと思ったのだけど――もしかしてケビンもしくは香澄たちの誰かが、夜食にフルーツを食べたのかしら?』


 少し不思議に思ったフローラは、リビングで世間話をしていた香澄たちへそのことを確認してみる。だがその場にいた香澄たちは全員、“知りません”と口を揃えるばかり。

『……もしかしたら、私の気のせいかもしれないわね。まぁ、いいわ』

首をかしげるもののすぐに気持ちを切り替えて、夕食の準備に取り掛かるフローラだった。

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