【エリノア編】
サンフィールド家との再会
三章
【エリノア編】
ワシントン州 レイクビュー墓地 二〇一五年七月二五日 午前九時〇〇分
ワシントン州シアトルは今日も絶好の晴れ模様で、洗濯物を干すのに気持ちの良い陽気。雨量が多いことから『雨の街』と呼ばれているシアトルだが、夏のこの時期だけは晴れの日が続く。そのため家族や友達などと一緒に出かけるには、うってつけのおでかけ日和。
そんな絶好の空模様が続くシアトルのレイクビュー墓地に、サンフィールド家の墓石の前で一人
『私は今レイクビュー墓地にいるけど、本当はトムたちが亡くなったことを信じたくなかった。香澄たちの言っていたことが嘘であれば……良かったのに』
『レイクビュー墓地で安らかに眠る』
一 リース・サンフィールド 一九六〇年~二〇一一年
二 ソフィー・サンフィールド 一九六三年~二〇一一年
三 トーマス・サンフィールド 二〇〇三年~二〇一四年
静かに唇を噛みしめ両手を握りしめているエリノアの瞳から流れる滴が、まるで
『わずか数日ほどの関係でしたけど……不思議なことにそんなことを感じさせないほど、私たちは親密な関係になりましたよね。まるで昔からのお知り合いのように……』
天国へ旅立ってしまったサンフィールド一家に対し、エリノアはただひたすら彼らのために黙とうを捧げる。“今さら後悔してもトムたちが戻ってくるわけではないし、香澄たちを責めても彼らは生き返りはしない”と頭では理解をしつつも、心のどこかでは彼らの死を受け入れることが
『でもどうして……どうして私たちは出会ってしまったの? こんなに辛くて悲しい気持ちになるのなら……最初から出会わなければよかったのに』
サンフィールド家の墓石の前で、エリノアは数年前にフランスで出会った彼らとの想い出に一人浸っている。……彼らからその答えが返ってくることを密かに期待しつつも、エリノアの心はどこか遠くを眺めている。
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