第67話 きつい、きつい、きつい
「しーちゃん……ハンカチ忘れちゃったから、貸して?」
「何やってんのよ、だらしないなあ。しっかりしてよ」
「……ごめんなさい」
しーちゃんは、はっきりと話すことができます。しかし気が強くて、いつも言い方がきつい子です。
ある日しーちゃんは、えみちゃんとさきちゃんと下校していました。
「きゃあっ!」
「さきちゃん大丈夫?」
さきちゃんが石に躓き、転んでしまいました。
「ここからなら、まだ学校は近いね。保健室で手当てしてもらおうよ、さきちゃん」
「もう、さきってばドジね! あたしは帰るわよっ!」
「え……。それはひどいよ、しーちゃん!」
えみちゃんは注意しましたが、しーちゃんは先へと進んでいきました。
「え~ん、え~ん」
しーちゃんが歩いていると、泣いている小さな女の子がいました。しーちゃんは女の子に話しかけました。
「どうしたの?」
「うぅ……。うえ~ん!」
「ちょっと! ちゃんと答えなさいよ! 泣いていちゃ分からないでしょ!」
しーちゃんが怒り出したそのとき、
「痛いっ! 何すんのよ!」
女の子が「きつい、きつい……」と言いながら、しーちゃんの腕を、とても強い力でギュッとつかんでいます。
「ひどいじゃない! 放しなさいよっ!」
「ひどいのは、お姉ちゃんだよ」
「ギャアッ!」
女の子の力は、どんどん強くなっていきます。
「いたぁ~いっ! やめて放して!」
「じゃあ、今すぐ戻って」
「……え?」
「これでよし……と」
「良かったね、さきちゃん」
「ありがとう……えみちゃん、先生」
先生の手当てが終わると、誰かが保健室へやって来ました。
「さき! えみ!」
「しーちゃん……」
さきちゃんとえみちゃんは、とても驚いています。
「ごめんね!」
二人は、しーちゃんを許しました。それからしーちゃんは優しい子になりました。また、三人はずっと仲良しでした。
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