第4話 きつい、きつい、きつい

「しーちゃん……ハンカチ忘れちゃったから、貸して?」

「何やってんのよ、だらしないなあ。しっかりしてよ」

「……ごめんなさい」


 しーちゃんは、はっきりと話すことができます。しかし気が強くて、いつも言い方がきつい子です。

 ある日しーちゃんは、えみちゃんとさきちゃんと下校していました。


「きゃあっ!」

「さきちゃん大丈夫?」


 さきちゃんが石に躓き、転んでしまいました。


「ここからなら、まだ学校は近いね。保健室で手当てしてもらおうよ、さきちゃん」

「もう、さきってばドジね! あたしは帰るわよっ!」

「え……。それはひどいよ、しーちゃん!」


 えみちゃんは注意しましたが、しーちゃんは先へと進んでいきました。


「え~ん、え~ん」


 しーちゃんが歩いていると、泣いている小さな女の子がいました。しーちゃんは女の子に話しかけました。


「どうしたの?」

「うぅ……。うえ~ん!」

「ちょっと! ちゃんと答えなさいよ! 泣いていちゃ分からないでしょ!」


 しーちゃんが怒り出したそのとき、


「痛いっ! 何すんのよ!」


 女の子が「きつい、きつい……」と言いながら、しーちゃんの腕を、とても強い力でギュッとつかんでいます。


「ひどいじゃない! 放しなさいよっ!」

「ひどいのは、お姉ちゃんだよ」

「ギャアッ!」


 女の子の力は、どんどん強くなっていきます。


「いたぁ~いっ! やめて放して!」

「じゃあ、今すぐ戻って」

「……え?」




「これでよし……と」

「良かったね、さきちゃん」

「ありがとう……えみちゃん、先生」


 先生の手当てが終わると、誰かが保健室へやって来ました。


「さき! えみ!」

「しーちゃん……」


 さきちゃんとえみちゃんは、とても驚いています。


「ごめんね!」


 二人は、しーちゃんを許しました。それからしーちゃんは優しい子になりました。また、三人はずっと仲良しでした。

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