魔法


おれの魔法は敵の毛穴を全部、塞ぐことです

そいつはそう自己紹介をした

「凄いな」

わたしは言った

わたしの隣りの武闘家が耳元で囁いた

「で、仲間に入れるのか?」

わたしは黙り込んだ

「毛穴を塞ぐとどうなるんだ?」

反対側の隣りの戦士が腕を組みながら言った

「あり得ない状況に心肺が停止します」

わたしは無言で頷いた

少し離れた場所から僧侶が言った

「でも、ここはファンタジーの世界だよな」

「ああ」

わたしは答えた

そして再び考えるふりに没入した

答えなんてとっくに出ている

けれどもし断って自分の毛穴を塞がれでもしたらどうしようかと思っているのだ


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