占い師
「あなたは再来週、震えあがります」
すれ違いざまに占い師の老婆にそう囁かれた
なるほどな
「じゃあどうすればそれを回避、出来ますか?」
おれは尋ねた
多額の金銭を要求された
支払いを終えたおれに与えられた助言は次のような内容だった
「まず、幽霊のお肉を頬張りなさい」
おれは黙って頷いた
質問は最後にまとめてしようと思ったのだ
「大切なのは肉ではないということです、お肉です」
口を開きたい衝動を堪えた
「そして愛知県にいる太郎の運転するダンプカーを横転させなさい、その際、彼の着ているダサいロゴのTシャツを裂きなさい」
おれは思った、何かを
「最後に市役所の一階でフルチンになり童謡を披露しなさい」
どれも難しいことばかりだった
「他に方法は無いんですか?」
尋ねた
「あります」
ではそれについて聞こうか
「まずハッシュドビーフに敬礼しなさい………」
そのようなやり取りをおれと占い師は路上で繰り広げていた
その同日、同時刻
おれたちのいる場所から歩いて数分ほどの駅のホームでは痴漢が存在していた
痴漢は辺りを見回し獲物を物色している最中だった
その目つきは百獣の王、ライオンを思わせた
痴漢がくしゃみをした
そして痴漢はまだ痴漢行為をしていなかった
だが痴漢だった
何故なら名札をしていてそこには『痴漢』と書かれていたのだ
車内に乗り込むと早速、痴漢は痴漢行為を開始した
でもそんな話しはどうでも良いではないか
問題はおれだ
話しは戻る
結局、分かったのだ
再来週、震えあがる事態を回避する方法が
それによるとどうやらおれはすね毛にマーガリンを塗りたくって弱火でミルクを温めながら虹色の自転車に乗り込んで不動明王の股下をくぐりカラフルなニット帽をチワワの顔面に投げつけたあと(以下略)
ということらしい
そして
おれは
それをした
したのだ
しかし占い師は偽者だったので意味は無かった
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