まるで奇跡のように


おれは転がった

ただそれだけだった

予感は素晴らしかった

だがそれは見事に裏切られた

青春の成分の解明を急いだ

多分そこには何も無いのだから

おれは急斜面を転がった

止まる気配は全然、無かった

皆、気付かず先へと進んだ

気付かぬふりをしているだけだ

叫び声は確実に聞こえている筈なのだが

誰ひとり振り返らなかった

そして皆、卒業していった

………おれ?

おれはまだ転がっていた

そして深い森の奥へと突入してしまっていた


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