マイキャンパスライフ


麻酔をかけられて

くすぐりの刑

(早く終われ………)

何もかもが下らない

ぼんやりしながら

窓の外を見つめていた

紅葉した木々からパンティーがはらりと舞い落ちた

(もう秋かよ………)

溜息をついた

それからの二人はつまみ食いをして一生を暮らしました

で終わるおれの卒業論文

なんとか卒業は出来そうだった

だがおれは一体この場所で何を学んだというのだろう?

授業中にスパゲッティーを食べても何も文句を言われない

そんな自由な校風だった

そしておれはその自由に身を任せ堕落した

うたた寝から覚めると皆、真面目に授業を受けていて戸惑いを受けた

裏切られたかのような衝撃

ただおれはそこにいるだけだった

「あのう………」

三年の終わりに恐る恐る提案した

「肺呼吸を課題に入れてもいいですか?」

一瞬の沈黙の後、教授から放たれた言葉

「よしっ」

なんだ

良しなのか

それならもっと無茶をしても良かったかなって今になって思う

おれは少し保守的すぎたらしい

もっと野蛮に例えばあの白い雲と相撲を取ったり

カラスを蒸して棄てたり

そのようなことを実践してみるべきだったと思う

一度きりの人生

おれはこのキャンパスライフで青春が最後まで見当たらなかった

相当、うろうろしたがもしかしたらもう絶滅しているのかもしれない

ただ言葉だけがその辺りをのさばっていて

或いは気付かないうちに通り過ぎてしまったのか

どちらにせよ恐ろしい話しだ

「こんなのってないよなあ」

まさか来週、震えあがることになるとは知らずおれはのほほんと呟いた


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