氷河期


凍りついてしまった世界を

高級もぐらの毛皮を羽織って

おれは歩いた

この世界にはもうおれのパシリしか存在しなかった

クリオネ

おれは孤独だ

出来ることなら愛と平和をばら撒きたかった

けれど愛と平和は何処に備蓄されているのだろう?

誰もいない図書館でそれでも射し込む日射し

いつでもきみのことを想っているよ

きみの顔は忘れてしまったけれど

それでもきみのことを好きだって気持ちだけは

まだ失くしていないさ

あの日

椅子から転げ落ちたのは自分だけだった

運命が狂う予感はしていた

でもそれももう遠い思い出

それが本当にあったのかどうか定かではない

透明な風によっておれの手首は拘束された

また夕方が終わり視界の全てが影に呑まれる時間帯が近付いて来ている


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