夜の体現者
夜
歩いていたら
誰かに手首を
掴まれた
それは信じられないくらいの握力だった
わたしは驚いて
振り返った
するとそこに見知らぬ人が佇んでいた
あっ間違えた
という表情をすることもなく
わたしの目の奥をじっと眺めていた
「人違いではないですか?」
わたしは尋ねた
その人はゆっくりと首を横に振った
わたしの腕を引っ張り無理やり知らない場所へ連れて行こうとした
わたしはその人を見た
まるで夜そのもののようだった
(………)
どうしてわたしだったのだろう?
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