UFOが来た日


UFOが降りて来た

目玉焼きみたいな形だった

わたしの家の庭に不時着した

お母さんは言った

「ほらあんたが庭の草を刈らないから!」

無茶苦茶だった

ひどく動転しているようだった

飼い犬が鎖に繋がれたまま暴れていた

UFOはキラキラと光っていた

クリスマスの飾りつけみたいで綺麗だった

なんとなくその中にいる人たちは悪い人ではない気がした

二人、出て来た

とてもちっちゃかった

そのうちのキャラメルの箱ぐらいの方が言った

「コンセントは、ありますか?」

この星の言葉だった

「コン………コン………コンッ」

お父さんは使い物にならなかった

わたしは言った

「どうぞ、中にいっぱいありますよ」

宇宙人はお互いを見つめ合い頷くと

家の中へと入って来た

レーザー銃らしき物の尾っぽから

コードを引き伸ばしそこに差し込んだ

言った

「何か食べ物をよこしてください」

ええー

レーザー銃、撃つのにひとんちの電力、使うのかよ!

わたしは驚いた

よく見ると宇宙人たちはプルプルと震えていた

きっとわたしたちが恐いのだろう

わたしは冷蔵庫から

ココアと、ハムと、福神漬けを持って来た

するとココアの粉だけぺろぺろと舐めた

「ありがと」

「ありがと」

そう言うと

巻き戻しの映像のように空へと再び帰って行った

いつもの日常に取り残された

わたしたちは

ぽつんと庭に突っ立ったまま

「ほんとに宇宙人っているんだねえ」

わたしは言った

「………ほんとに、いるんだな」

お父さんは言った

その晩はドキドキして

お風呂に入って布団に潜り込んでもなかなか寝つけなかった


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