保健所で話を聞いてもらってきた(精神保健相談)下ーー死刑の話

 最悪な相手、というのはm〇xiのコミュニティ繋がりで出会った、法務省のキャリアだった。


 法務省のキャリアが何をしているか。

 彼の話によると刑務官のようなことを普段しているらしい(守秘義務があるのでそれ以上は話してくれなかった)


 そして、死刑を執行するのは刑務官だが、法務省のキャリアである彼は死刑執行のボタンを誰が押したかどうかを知っているいるとも。


「いい気味だよ」


 そう彼は言った。首吊りは楽なイメージがある人もいるかもしれないが、とんでもないらしい。


 死刑執行の日時は囚人に知らされない。最後に食べる食事もアメリカのようには選べない。その日は唐突にやってくる。死刑囚は泣いてもわめいても無駄で連れていかれる。ただ、処刑場の祭壇のようなところにある和菓子を食べるのは許されているらしい。(ほとんどの囚人がそれに手を伸ばすらしいが、水や茶は与えられないという)


 そして、3人~5人の刑務官が、死刑執行のボタンを押す。

 どの刑務官が押したボタンが執行を意味するボタンかは刑務官自身にはわからない仕組みになっている。(刑務官の精神衛生上の健康を守るための処置)

 首吊りは数分、藻掻き苦しむという。(ギロチンは数十秒だというから、ギロチンより残忍だ)

 脳に酸素がいかなくなり、顔は真っ青、というより紫色に膨れ上がり、声も出そうとしても出ない。糞尿を垂れ流し、死にたくない、と泣き喚く隙すらなく、死んでいくと。


 そういいながら、私が作った朝ごはんを美味しそうに食べる、その男の異常性を私は見抜けなかった。


 今まで、私が付き合った男たちは何だかんだいってゴムをしっかりつけてくれていたが、その男は最初からつけなかった。


 そして、私が寝ている隙に、裸の写真を撮ってきた。


 すぐに消させたが、クラウドに残っているかもしれない。

 恐怖である。


 体重が40kgを切ったからか、それとも妊娠したからか、私の生理がぴたりと止まった。


 沢山電話をした。沢山メールをした。


 だが、彼とは音信不通になってしまった。

 ストレスのあまり膀胱炎にもなり、一度は治癒したはずの子宮頸がんに再び感染した。しかもより、悪質なウイルスということで子宮体検査まで受ける羽目になった。

 涙を零しながら、私は検査の痛みに耐えた。


 そして、雪の中をさまよっているところを警察に保護され、そのまま両親に引き渡され、私は、措置入院と医療保護入院の間のような扱いで入院した。


 体重が50kg台に戻ったころ、生理があったが、堕りたのか、それとも経血なのか検査してもらえなかったから、わからない。


 私は小さな命を守れなかったのかもしれない。私は罪を犯した。


 そう思うと涙は止まらなかった。看護師さんは「きっとただの経血だから。大丈夫だからね」と慰めてくれた。


 ……そいつは、まだ、私の電話番号をとってあるらしい。


 LINEの「友達ですか?」の上位に挙がってくるのが、ひたすら不快である。



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