私小説
ラングドシャがらん堂
桃
桃が5つほど置いてあった。
祖母にこれは?と聞くと貰ったとだけ答えた。
並べられた中から1つを手にとってみた。
桃には毛が生えていて手の中でザラザラと音を出させる。
鼻へ持ってゆくと単純で力強く膝膕ない桃の匂いがした。
私はその化学的ではない桃の匂いにひどく感動してしばらく嗅いでいたくなった。
少しして、行儀が悪い事に気づき名残惜しいと感じながらも桃を元の場所に戻した。
新鮮だったのだ。
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