時操る彼女と赤い靴を探す影


ガラスの靴は皆の憧れ。キラキラと輝くお姫様になるためのアイテム。

童話のお姫様…シンデレラは、魔法使いのおばあさんから魔法と、ガラスの靴をはいて、一夜限りのお姫様になって舞踏会に向かう。


「その靴。まるでお姫様みたい」

「うん、そうでしょ。とても気に入っているの!」


幼い頃に買って貰った、赤い靴。

かわいくてお気に入りだったそればかりを穿いていた。


「いいな、夏実は買ってもらえて…」


ガラスの靴のように、魔法のアイテムがあれば誰でもお姫様になれる、なんて。

甘い事を信じていた、あの時までは。



******


「なっちゃん、顔が凶器になってるよ」

「あんたは言葉が凶器になってるわよ」


夏実は地域郷土研究部の部室でむっつりとテーブルに置かれたものを睨み付けていた。それに気づいたのがハイネだった。


「それは何?」

「赤い靴、それも片方だけ」


赤い靴?と不思議そうにする白髪の魔女。テーブルには赤いハイヒールの片足分が置かれていた。何故こんなものが、と思う。

夏実は靴から視線を向けたまま、表情を変えずに呟いた。


「……親や大人達に止めろと言われても大好きな赤い靴を履きつづけた少女は、やがて神様の怒りを買い、少女は赤い靴を履いたまま踊り続けてしまうのよね」


その夏実の様子に、何かを察したハイネは胸の前で腕を組んで口を開いた。


「木こりに赤い靴ごと足を切り落とされるまで踊りつづける羽目になったんだっけ。

童話って子供向けに思えるものでも、案外ショックの強い内容のものも多いよね」


最も、かの有名なグリム童話を編纂する際にグリム兄弟は収集した原作童話の内容を若干改変したりマイルドなものに変えたりしているそうなのだが、現代の童話のストーリーではその内容から悲劇的な内容を変えてハッピーエンドにしているものもあるそうだ。

古来から伝わる物語も、語り継がれる内に、時代の風潮で多少なりとも変わっていくのは、まあよくある話ではあるが。


「赤ねぇ…」

「なっちゃんは赤色キライなんだっけ」


ハイネの声に、嫌いとは少し違うよと夏実。「ふーん」と言ったあとで、どうしてそんな顔してるのかとハイネが彼女に訊ねると、夏実にしては小さく呟く。


「…別に」

「そういえば、白雪姫の王妃も最後は熱く熱せられた鉄の靴を履かされて城の皆の前で踊ることになるんだったね」

「うわ、なにそれ。靴ならシンデレラのガラスの靴でしょ」


女の子が一度は憧れるやつ。と夏実に問われたハイネは、少し考えてから「魔法使いのおばあさんから貰うやつだね」と言って頷いた。

ーーシンデレラは継母と義姉に虐げられていた女の子。

舞踏会に置いて行かれたシンデレラの元に、魔法使いのおばあさんが彼女の願いを聞いて魔法を掛けてくれる。かぼちゃは馬車に、ねずみは御者に、くたびれた服は煌めくドレスに。

それから魔法使いのだしたガラスの靴を穿いて彼女は舞踏会に行く。けれど、その魔法は12時になるまでの期限付き。楽しくて忘れかけていた彼女は、時計の音で慌てて帰ってきたせいでガラスの靴を片方落としてしまう。

それを拾った王子が、ガラスの靴にぴったり合う足の女の子を探しまわる。


「…そしてシンデレラは王子と結ばれる。めでたしめでたし、だっけ」


そうそう、と夏実は頷いていたが、ハイネは思い出したとにこやかに喋り出した。


「あれも確かさ、シンデレラの義姉たちがガラスの靴にあわせて足の指を切ってみたり、かかとを削いで無理やりガラスの靴を履いてお妃になろうとしたけど、靴から血溜まりが見えて結局ばれちゃったんだよね」


嬉々として話す魔女に…はあ、とため息を吐き出した。折角きらきらした話に変えたというのにまたか、と夏実はため息混じりで苦言を返した。


「あんたね、いちいちグロいエピソードを挟まないと話せないの?」

「結構有名な話だと思うけど。むしろシンデレラの結婚式の話の方がえげつなかったりするよ?」


けろっとした顔をして白髪の少女は呆気なく喋る。

確かに原点は鳥葬要素が入っていて、継母と義姉が因果応報な目に遭っていた、と夏実は思い返す。昔興味があって読んだ事があったのだ、少し後悔をしたが。

これ以上ハイネに喋らせると、グロい話しかしないなと思い、夏実はストップをかけた。


「……わかった。知ってるから言うな」

「御意」


ガラッ

丁度良いタイミングで扉が開くと、眼鏡を掛けた少年が怪訝そうに入ってきた。


「お疲れさまです。先に来てたんですか」

「お、相楽」


返事を返したが、一つ下の後輩は夏実を見てぎょっとしていた。


「…部長、何かあったんすか。顔が凶器みたいですよ」

「ええ。ハイネが悪趣味なことばっかりいうから」

「先輩、からかうのも程々にしないと。只でさえ魔女とか言われてるんだから」

「セイくん、君はわたしよりもなっちゃんの味方をするの?!」


とりあえず、ハイネをなだめてから夏実は赤い靴へ視線を移した。

それから夏実は、放課後に部室に来たら入り口の前に赤い靴が置かれていた事を二人に話した。


「ハイヒールか、先生の誰かの持ち物……にしてもちょっと派手だよね」

「演劇部の小道具……でもないか。うちの部室と離れた所に部室あるし」


そもそも、地区大会の時期でもないよと夏実。演劇部の友達から聞いたので間違いないそうだ。

それに、片方だけというのは奇妙だった。

三人でひとしきり考えた後、


「落とし物かもしれないし、取りに来るまで保管しますか。尾方先生にも話しておけばいいし」


そんな話をして、赤い靴の事を先生に話した後に仕舞い込んでいてすっかり忘れてしまっていた。

あの赤いハイヒールを拾ってから、段々と学園周辺で狐型の魔物の目撃情報が増えていったので、忙しくて失念していたが…。


廊下を歩きながら、夏実はその事を思い返す。

(魔物が増えた事だけを気にしていて、関連があるなんて迂闊だったわ)

心の中でぼやき、そっと舌打ちをする。


女子生徒と別れた夏実達三人。

彼女の記憶は質問が終わってから時計盤の力を解いて、再び忘れさせてもらった。


「…赤い靴を拾ってから、狐型の魔物の目撃情報が増えた、ということは」

「もしかして、あの靴を探している?」


おそらくね、とハイネが頷く。


「つまり、どういう事だ?」

「ファンクラブの会長…証誠寺さんが狐の魔物に関係している可能性が出たってこと」


あれが、証城寺の持っていた靴なのかは確証がない。だけど赤い靴と狐に関連が出た以上はね、と夏実は神妙な顔を作って呟く。


「あと……茉莉嬢が怪我をした現場に黒い動物のような影があったね」

「そっちはどうなんだろうな…」


そちらも関係がないとは言えないだろう。

「まあ、言えることは」と夏実。それに「何だ?」と千草が返す。


「証誠寺さんに関しては、千草と行動をしていればあっちから仕掛けてくれそう」

「でも、そんな悠長にしてられなくない?」


だから次の行動をしているんでしょ、と夏実。

今度は三人で、一年の教室に出向いていた。

茉莉の親から千草が頼まれたのだ、茉莉の机とロッカーの荷物を持って帰って来てほしいと言われたそうだ。

…のは建前で、三人は何か手掛かりが残されているか確かめに来たのだ。


「あと上履きも、だってさ」

「ここで恨みの手紙の一つや二つあれば、確実なんだけどねぇ」

「そんな古典的なやつ、する?」


やるならSNSで晒すとか、メールで嫌がらせとかじゃない?と話しながら、教室の茉莉の机を覗く。机の場所は予め聞いていたのだった。

数冊の教科書とルーズリーフ、ノートそれから幾つかの紙切れが出てきた。

紙切れを開いたハイネは、一転して冷たい声で「いつ書いたんだか知らないけど、よくもまあやるよ」と吐き捨てて、夏実と千草の方へ紙切れを軽く投げて寄越した。

その紙切れには、ご丁寧なことに『ぬけがけ女』『あばずれ』『近寄るな』『しね』と書かれていた。


「…小学生の子供って好きだよねえ、不幸の手紙とか悪口書いて相手に渡すの」

「これは…」


千草は、狼狽えているようだった。

無理もない、彼にとってよく知る幼馴染のような関係の少女が、こんな事をされていたとは思っていなかっただろう。


「古典的過ぎて、殺意すら覚えるよ」


白髪の魔女は、嫌そうに顔をしかめていた。さっきまでは手紙の一つや二つと言っていたが、思っていたよりもやってる事が子供じみているし、女の嫉妬は怖いわ、と夏実もそう思う。

二人がこんな調子だったせいか、夏実は比較的冷静になることが出来ていた。冷静にならざるをえないと言うべきか。

二人に代わっててきぱきと机の中の物を持ってきたバッグに詰めると、二人をロッカーへ促した。


「ロッカーも開けて。中の荷物を持って帰るんでしょ」


あ、ああそうだな、と言って千草が茉莉の親から預かってきていた鍵で南京錠を開ける。

扉を開くと、教科書と参考書、授業で使う道具等が出てきた。

それから、奥の方にやはり例の紙切れがまとまった量で隠すように入っていた。

例の紙切れは荷物とは別にして、夏実が纏めて預かる事にする。


「これ、ずいぶん前から嫌がらせをされていたんじゃ…」

「…ヒロ、彼女と学園で会ったりしていた?」

「なにも…幼馴染だとも言ってないし、最近は彼女の方から離れてたくらいだ……」


そこまで聞いて、夏実は少し前に後輩達が話していた事を思い出して、呆れ気味に半笑いをした。

お昼を忘れてしまい食堂で食べようとしたが、先輩達が多くて食堂に入れなくて困っていた時に、千草がパンをくれた話だ。


「千草、いつだったか食堂で一年の女子にパンをあげなかった?」

「ああ。急いでいたからあまり覚えていなかったんだが……後から茉莉だと分かって驚いた記憶がある」


何で知っているんだ?と千草に問われたので、率直にちょっと小耳に挟んだのよと返した。


「それで俺、久しぶりでつい頼ってね、みたいなことを言ったんだ」

「ほうほう」

「……挨拶とか、ちょっとした会話が出来るまでの距離に戻っていたんだ。それが…嬉しかった、昔のようで懐かしくてさ」

「うんうん。かわいいもんね、茉莉嬢」

「かわ……!だ、だからそんな…!」

「あのね千草、今は惚気は聞いてないけど」


これのどこが惚気だよ!と学園の有名人が二人に力強く叫ぶ。

爽やかでキラキラしている彼を、普通におちょくったりずばずば言ったりする女子は、恐らくこの二人くらいだろう。


「けれど、ある日急に避けられるようになった…」


何で彼女に避けられるようになったのか分からなくて、自分が何かしてしまったから嫌われているのかと思っていたんだ、と千草は心境を吐き出していた。

話を聞いて何となくだが、夏実の頭の中で合点がいった。


「多分、その前後に話してる姿を証誠寺さんに見られて…これが始まったのかもね」


夏実は指先で紙切れを指差す。

あくまでも、彼女の仕業だとしたらだけどと仮定だと付け加えて。


「つまり証誠寺さんは…茉莉嬢とヒロが仲良くなっていたのを見かけて、暴走したってことかな」

「……そっか」


少しほっとするような顔をつくる千草に、「どったの?」とハイネが聞くと


「いや、不謹慎だけど急に避けられた理由が分からなくて、ずっと引っ掛かってたんだ。…だから少し、分かった気がしてスッとした」

「……嫌われてたんじゃなくて、よかったね」

「どうしてだ?」

「だって気になる娘に嫌われてたら凹むでしょ。だか……もがもが」

「……千草がちょっと黙ってくれってよ」


千草が黙ったまま、しゃあしゃあと続ける白髪の少女の口を両手で覆って喋るのを止めさせていた。……きっとハイネは純粋に千草を応援したいんだろう、と思う。

彼女は自身の周りの人間の、片思いや両片想いの関係を見守るのが好きな…少し変わっている趣味があるのだ。


三人は最後にげた箱へ向かった。

ハイネは「げた箱に画鋲が入ってたら、もう笑うしかないよね」なんて言っていたが、げた箱の扉に手を掛けると手を止め、眉を潜める。


「…待って二人とも、少し離れてくれる?」


え?と戸惑う二人。ハイネは二人が離れたのを確認したあと、指を2、3度鳴らしてからげた箱の扉をゆっくりと開く。

すると扉の隙間から、金属の小さなものがげた箱の下へと


ざらざらざらざらざらざらざらっ!!

ごとっ!!

と盛大な音を立てて流れ落ちた。その後から赤い物もげた箱の下へ落ちて転がった。

ハイネは何とも言えない顔つきになり、


「……山盛りの画鋲か。よくもこんなかき集めたなあ、すごいね」

「おい、感心するな」


溢れ落ちなかった画鋲も、げた箱の中にみっしり入っていた。

夏実はスマホで写真を取っていた。

千草とハイネは二人して、つか画鋲の山どうするよ…と話しつつ「これ、手で取れないよね」「ほうきとチリトリ借りて来るか…」と言い合いながら、最終的に事情説明しやすそうな喜多先生のいる保健室へと向かった。


それから先生に事情を説明して、げた箱まで来てもらった。げた箱の惨状を見た先生は、軽く引いていた。


「これはちょっと…担任の耳にいれた方がいいね」

「お願いします」


喜多先生は、茉莉の担任の尾方先生へ内線をかけている。

ハイネと千草の二人は、先生から借りたほうきとチリトリを使って散らばった画鋲を集めて、借りてきたお菓子の缶に入れていた。

夏実は転がっている赤い靴を見つけ、ハッとした。何処かで見覚えのあるそれを手にすると、千草へと尋ねた。


「あのさ…これは三角さんの物?」


それは、真っ赤なハイヒール。先ほどげた箱から落ちてきた物だ。


「いや、見たことない」

「……」


全ての画鋲を取り除いて残ったものは、上履きが一足だけだった。


「……あれ?先生電話に出ないな」


尾方先生は三角さんのお見舞いに行ってます。そう伝えると、喜多先生は今度はスマホに掛けているようだ。

だが、スマホにも繋がらないらしい。何かを考えていた喜多先生は、「結界に妨害されてるのかも…」とこぼした後に、

ぽそぽそと何かを呟いた。


「喜多ちゃん?」

「…よし、今度は繋がったわ」


数回のコール音の後、相手は電話に出たようだった。喜多先生は涼やかな声音で話し始める。


「……もしもし、尾方先生?喜多です。……ええ、実は……は?」


喜多先生が珍しく動揺していた。

三人は、思わずぎょっとして彼女を見つめてしまった。


「……なに、どういう……ああ、もう!」

「喜多先生、どうしました?」


夏実に訊ねられた先生は、少し冷静さを取り戻したらしい。

彼女は一呼吸を置くと、


「あなたたち。尾方先生は三角さんのお見舞いに行ったのよね…冬海病院に」

「そのはずです」

「尾方先生が何処かに閉じ込められているそうよ、それも何日も前から」

「……はあ?!」


夏実達は唖然としていた。


「待って下さい。今日は尾方先生は学園に……」


夏実の頭の中は混乱していた。では、今日食堂で会った先生は……何だったのか?

喜多先生はこめかみを抑えると、…この私が見抜けないなんて…、と舌打ちをしながら吐き捨て、不愉快を露にしていた。


「恐らくそれは…尾方先生に化けた偽者だわ」

「……何の為に?」

「君らや私を欺いて、今度こそ被害者を拐うため…だとしたら」


一同は、ハッとした。

確か、被害者を狙った妖怪は狐だったわね?と先生。彼女は淡々と続けて口を開く。


「…狐は悪さもするけれど、もともと神性の高いものなの。神社に奉ればその人たちを守ってくれる。神様になるくらいにはね」

「……マズイ。尾方先生の偽者が白檀だったとしたら、被害者と鈴歌が…」


迂闊にも彼女にお見舞いを頼んでしまった事を後悔していた。

今からスマホでLINE入れる?いや、病院内はスマホの電源切らなきゃだから出ないでしょ…

と言い合うみんなの様子を見た喜多先生はぱん、と両手を合わせた。


「わかった。先生は上に連絡次第、三角さんの入院してる病院に行きます。すずちゃんも心配だし」

「喜多先生、ありがとうございます」

「……その代わり。悪いんだけど、尾方先生の事はお願い出来る?」

「ええ、了解です」


そういい置くと、足早に保健室へと走って帰ってしまった。


「思ったよりも厄介な事になってるね…」

「仕方ない、相楽達を尾方先生の所に向かわせるか」


あとは、先生の居場所だけど…

と呟いたハイネは、千草の顔を見て「そうだ」と声を上げた。


「ヒロ。君はこれから茉莉嬢の家に行くんだよね」

「ああ」

「ならついでに…その力を貸してくれないかな?」


ハイネは千草に言う。姉の元に行って力を借りて未来を視て欲しいということだった。


「場所はウルディに探してもらってる、分かり次第LINEする」

「いいよ。チャリだし構わない」


ついでに、こっちで相楽達に連絡をしてみるよ。と千草が提案した。それに夏実がお願い、と頷いた。


「そうね、千草は早く学園から出た方がいい。そろそろ雨が降りそうだし」

「オウマガトキも来るからね」


今はまだ、曇ったままの空模様だが。

あともう少しすれば、重く垂れ込めている雲を透かし、地平線からじわじわとオレンジ色へ染まっていくだろう。

夏実はポケットから赤い石がついたピアスを取り出して、そっと耳に付けた。



………………。


千草と別れた女子二人は、部室に戻って来ていた。夏実は戻ってきてから探しものをしていた。

少し時間が掛かってしまったが、部室にある棚から、以前置かれていた片っ方だけの靴を手にした。


「…やっぱり同じものだ」


つい数週間前、無造作に部室前に置かれていたそれと、茉莉のげた箱に入っていたそれを隣に並べる。


「なるほど、これで揃った訳か」

「……赤い靴ねえ、これはあたしらが踊らされているってことか」

「ふーん。……これは解せぬ」


不快感を顕にした少女は、左耳にピアスを付けると、瞬時に「〈銀針〉」と呟き小さな銀の杖を手にする。

杖を振り一足揃った靴を宙に浮かせた。


「さて、なっちゃん。そろそろオウマガトキだけど…」

「……場所は恐らく3ー3教室。深度は不明。それと各階に使い魔と思われる狐型の魔物が沸いているわ」


二人は部室から一歩外に出る。

景色は一瞬にして、穏やかな様から影とオレンジ色の二極化した空間へと様変わりした。

二人の気配を察知したのか、周囲には狐の形を取った魔物が複数、二人を出迎えていた。


「……あたしらをただで出すつもりは無さそうね」


呟いて、彼女はホルスターから拳銃を引き抜いて銃口を魔物へと向けた。

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