第47話

「どうしたの?刑事さん」

「実はね、あなたは私の本当の子ども。つまり、私はあなたのお母さんよ」

その事実は、姉妹にとっても、刑事にとっても、衝撃的なことだった。

「音尾。君は一体何を言っているんだ」

玉木の問いに答えるかのように、音尾は鞄から母子手帳を二つ取り出して掲げた。

「これは、琴音と琴美が生まれてきた時に受け取ったものなの。琴音と琴美が私の娘だっていう証拠よ」

「お母さん、事故で亡くなったんじゃなかったの?」

「ええ。話すと長くなるから、ここではやめておくね。とにかく、私はあなたたちのお母さん」

琴音は思い出した。事件直後、音尾に抱き締められた時の懐かしい感じを。

「これからどうするの?」

「この事は、お偉いさんにしか話してないから、しばらくはこのままの状態が続くと思うわ。でも頃合いには一緒に暮らしたいと思う」

「私も、お母さんと暮らしたい。本当のお母さんと」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る