第5話

「琴音ちゃん」

こども園に着くと、職員が駆けてきた。

「琴美ちゃんが見当たらないの。ちょっと目を離した隙に。ごめんね」

「どういう事?」

「とにかくここじゃあれだから、上がって」

琴音は言われた通り、玄関から中に入った。懐かしい園舎。木々の香り。琴音もこのこども園に通っていたから、思い出はたくさんあった。緊迫感の漂う園内。しかし、琴音はその時妹のことをしばしの間忘れており、ケータイの着信音にすら気づいていなかった。

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