7-1 急上昇
充希は瑞希さんをコピーするのはやめたようだ。かといって元の山猿に戻るわけでもなく、なんかどんどん変な方向に行ってる。赤ちゃん返りの中学生版とでもいうか。やたら、甘えるような態度を取りだした。
***あいつに何か言われてそれきりそのまま***(「恋を抱きしめよう」鈴木康博)
啓太が中学の校舎の方を見ながら言った。
「おい、お前の下の妹ちゃん、最近、仮想通貨並みに高騰してるらしいぜ」
「何が」
「同級生だけでなく、高1の間でも大人気らしい。そのうち、さらに高学年にも広がるぜ。たぶん」
「仮想通貨は暴落するのも早いんだが」
「もともと、明るくて、陰ひなたがなくて好かれてはいたんだ」
充希の日陰に入ったこともない奴らが勝手なことを言ってんじゃねえ。
「何て言うのかな、前は幼い感じだったのが急に大人びて、なんか憂いとか色気とか出てきて、たまらないと」
「こら、女子中学生をそういう目で見るな」
「おれが言ったんじゃねえよ」
そりゃあ、おれですら、ほんの一時の気の迷いで「もしかしたらかわいいかも」と思いそうになるぐらいだから、あいつに蹴られたことも殴られたこともない男子ならほれるやつもいるかもしれないが。
「あいつも彼氏ができれば、義兄離れしてくれるかな」
「強がるなよ。すでにふられた同級生もいるらしい。てゆうか、手を出す奴は窓から突き落とすんじゃなかったのか」
「お前と義兄弟になりたくなかっただけだ。ほかの奴なら我慢する。それにあいつは悪の組織にさらわれたんだ。でも、すぐに洗脳が解けて元通りのあいつになるから心配するな」
♪♪♪♪ほかの誰かと比べられてただ黙ってたの♪♪♪♪
(「恋を抱きしめよう」鈴木康博)
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