第13話

 あれから3日が過ぎた。


 あの日、海多遊園地の駐車場に一人取り残されたナオはどうする事も出来ずに、しばらくその場に立ち尽くした。


 立ち尽くしながら、自問自答する。


 ちっぽけな自分ではどうやってもあの子を助けることなんて出来なかっただろうし、正義のヒーローみたいにはなれなかったと思う。


 でも、それは単なる言い訳かもしれない。何も出来なくても、例えば無理矢理にでも自分もあの車に乗り込んでいたら……今とは違う結果に終わっていたかもしれないとも思う。


 そんな事を延々と考えているうちに辺りは闇に飲み込まれ、渋々一人帰宅した。


 そして今日、あの子と出会った公園に来ていた。


 今日、というか正確にはあの日以降、毎日この公園に通いつめている。


 この公園に来れば、またあの子に逢えるようなそんな気がするから。なんの根拠もないがナオはそう考えていた。


 学校帰り、ブランコに腰掛けて白い雲が浮かぶ7月の青空を眺めながら、あの日の事を何度も何度も思い返した。


 公園でたまたま出会った可愛い女の子。その子となんとか友達になりたくて、必死に話題を探していた。


 あの子の名前が知りたくて、あの子の声が聞きたくて、あの子の笑顔が見たくって、勢いで、訳もわからずダメ元で誘った遊園地。


 翌日、まさかとは思ったけど本当に来てくれた。


 そして始まったドッキドキの女の子との初デート。どうしたらいいのか分からず、極度の緊張と照れも相まって謎のハイテンション。


 子供用だからとナメきっていたジェットコースター。涙目になっていた事は気付かれなくて良かった。


 二人で食べたソフトクリーム、甘いわた菓子。


 本当に楽しかった。


 空をぼんやりと眺めていると白く巨大な入道雲が、わた菓子やソフトクリームに見えて来て、最終的にはジェットコースターやメリーゴーランドまで現れたので、7月の青空一面がまるで巨大な遊園地のような光景だった。


 そんな青空を夢中で眺めていると、ナオはとんでもないものを発見する。


「…………」


 7月24日午後18時24分、ナオは遂に見た。


 まだまだ明るい7月の青空に、


 真っ白な雲が浮かぶ7月の青空に、



 空を縦横無尽に飛び回るーーーーUFOの姿を。

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