第2話

ある夜

事が済んで、一服つけながらあの人が言った。


「次の戦は長くなる」


「…そう」


一言返すので精一杯だった。


あたしは嬉しかった。


顔が緩まないように堪えるのが大変で

少し涙が出そうになったので

怪しまれないように、台所へ行って酒の準備をした。


戦も、長くなるのも嫌だけど

あの人があたしを気にかけてくれた。

長く来れなくなることを知らせてくれた。

あたしが心配したり悲しんだりしないように。

そのことが嬉しくて嬉しくて

しばらく台所で泣いていた。




戻ると、やっぱりあの人は眠っていた。

あたしは口づけて

あの人の手を握った。

胸に耳を寄せて、鼓動を確かめる。

夜が、明けなければいいと思った。




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