第58話 報告と通達
【ギルドのおっさん】
私が言うのもなんだが、ここのギルドには華がない。
ギルド会員(彼らは自分達のことを勝手に冒険者と名乗っているみたいだが)の大半、と言うか九割九分方が男だというのに、私が所属する支部の女性職員の数は極端に少ない。しかもその数少ない女性は40過ぎの枯れ枝ばかり。それゆえ会員たちからは私たち受付に対する接し方は冷たく、結果私たちも過度に接する事は無く事務的に接する毎日になっている・・・・そうしなければ私たちの胃が持たない。
今日も朝の受付業務を淡々とそつなくこなし、書類が溜まる前に手早く片づけていく。
最近ギルドでも残業に厳しくなっているからな、会員たちが戻ってきて忙しくなる前にこれらを終わらせておかなければ。
時間はもう夕方・・・・・・・・あれ、そう言えば”片翼の獅子”と新人研修生たち帰ってきていないな。
「何かトラブルにでもあってるいのか?」
独り身が長かったせいか、無意識につい思っていたことが口に出てしまう。案の定今も独り言を呟いてしまったようで、隣の席でな地受付をしている同期の男が眠そうな目でこっちを見てきた。
「・・・・あぁ、新人討伐研修。そうだね、いつもだったらとっくに戻ってきて反省会を開いているころだね」
彼は私の独り言に同意してくれたが興味はないのか処理途中だった書類へと眠そうな目を直ぐに戻した。
基本ギルド会員の仕事には危険が付きまとう。ギルドに依頼される内容には魔物の討伐なども含まれているのだから当たり前だ。
だからこそ、ギルドは会員の安全に関しては関与しないし保証もしていない。その分高額の依頼料を支払い、危険に似合った報酬を出しているのだから、受ける受けない合わせて全てが会員の自由意志。だから当然危険にさらされるのも自己責任と言うのがギルドの考え方だ。
ただ新人をいきなり何もせず放り出すのはギルドとしても何の益も無いので、最初だけベテラン会員にお願いして研修を行う制度がある。
それ以外にも将来有望な会員をギルド支援のアカデミーに入れて育成することもしているが、それはほんの一部だけ。大半の会員はこの研修のみを受ける。
何が言いたいのかと言うと、新人の討伐研修はギルドの会員の仕事は危険なのだということを認識してもらうためと、危険に合わないための知識を先輩から教わってほしいから実施しているという事なのだ。
だから研修はいつも陽が落ちる前には戻ってきて、何が良くて何が悪かったのかを振り返らせることも大事なのだが・・・・・・。
いつもであればとうに戻ってきてもいい時間なんだけど。
「やっぱりアカデミー出身とは言え3等級に成りたてに任せるのは厳しかったんじゃないのか?」
まぁ彼ら”片翼の獅子”には魔術師が一人いたはずだから滅多なことは無いとは思うが、それでも心配にはなる。
「今回のって支部長が独断で突っ込んできたんだろ? 今後の我がギルドの期待の星ですからとか言って」
「そうなんだよ。いくらアカデミーを出ていると言っても、実践経験はまだまだ少ないからもう少し待ってからの方がいいと思うのだが」
「支部長、随分とそいつら気にかけてるもんな」
よりによって私が担当の時に問題は起こさないようにだけはしてほしいなぁ。
新人が無茶をしていなくなることはよくあるのだけど、流石にアカデミー出の子達に、更には魔術師に何かあってはギルドとしてもかなりの痛手だからね。もし仮に”片翼の獅子”にもしものことが有ったら支部長にねちねちとした嫌味な説教を受ける羽目になってしまう。自分でごり押ししたのだからあの支部長の事であれば知らんぷりはしないと思うが・・・・・・・あぁ不安になってきた。
窓の外が暗くなっていくのを目にしながら、この後の憂鬱さでため息が漏れだしてしまった。
と、ちょうどその時、ギルドの扉が開いた。
現れたのは”片翼の獅子”の面々、そしてその後ろから研修を受けた新人たち。
それにしても・・・・・・あぁよかった胸が無事で・・・・・・・って違う違う! 今喜ぶのはそこじゃなかった。新人もそうだけど“片翼の獅子”が無事に帰って来てくれて、面倒ごとにならなくてよかったよ。胸にも傷はついていないようだし、うん、うん。
「おかえりなさい皆さん。随分と遅かったのですね」
不安だった鬱憤もあって少し嫌味な言い方になってしまったのはご愛敬だ。
「・・・・・・ただいま戻りました」
それに対して返ってきた反応は何ともそっけないもの。何と言うか随分と憔悴しいるような?
「・・・・・何か、あったのですか?」
もしかして新人たちの誰かがやられでもしたのだろうか? ”片翼の獅子”の面々はまだ年若い者たちだから、そういった人の生き死にに慣れていない節がある。
慌てて新人の数を数える。
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・・・・九つ・・・・・全員いるな。
全員の無事を確認し安堵しつつも怪訝で眉が寄ってしまった。
「そう、ですね。あったと言えばあったのかな・・・・・あぁ、あったなぁ」
まるで魂が抜けてしまったかのように、煮え切らない口調で”片翼の獅子”のリーダーであるジョシュアンが苦い笑みをこぼしていた。苦い笑みであっても顔のいい男は様になるのが悔しい。
私にこいつほどの顔があれば今頃は可愛い嫁さんがいて幸せな家庭を築いて・・・・・・て、今そんなことを考えている時では無かった。時間も時間だし早く済ませないと残業になって上からチクチクと言われてしまう。
「とりあえず反省会をいたしますか」
「あ、いえ、その場で指摘しながらでしたので今日はおしまいでいいですか? 彼らも疲れたでしょうからここで解散ということで。報告のために僕らだけ残ります」
「はぁ、それは構いませんが」
そう言って新人たちを気遣うジョシュアンの目は虚ろだ。他のメンバーも心ここにあらずのような状態に思えるのだが本当にどうした。
これはジョシュアンが言う通り相当ハードだったのかもしれないな。新人たち私から言うことは何もないし、指導員である“片翼の獅子”がそう言うのであればそれでいいだろう。そう言った判断も含めての指導員だから。
「分かりました。それでは皆さん会員プレートをお出しください。研修終了の刻印を入れますので」
”片翼の獅子”のメンバーの様子が気になるが了承し、新人全員からプレートを預かり刻印を刻んで返す。これで新人討伐研修を終えたあかしとなる。
女の子がいる3人組は嬉しそうにプレートを掲げてはしゃぎ、むさくるしい5人組はお互いの拳をぶつけ合っている。ソロ登録の男は真剣にプレートを眺めて時折頷いている。
ふむ・・・・言うわりに元気だぞ。
どちらかと言えば疲れているのは”片翼の獅子”じゃないか?
「これで解散ってことでいいんですか?」
ひとしきり眺め終わって満足したのか、プレートをしまったソロの男が”片翼の獅子”のリーダー、ジョシュアンに帰っていいかと訊く。
「はい、これで終わりです。お疲れさまでしたハルさん」
ビクっと僅かに跳ねたジョシュアンが丁寧に新人男にお辞儀をしていた。彼の人の好さは聞いていたが、新人にもこの対応とはさすが・・・・・・・・・朝は、そこまでじゃなかったような気もするが・・・・。
ソロの男は苦笑いを浮かべて「それでは」と言って出て行った。
何だか無性にそのやり取りが気になった。
ソロの男が帰ると、他の新人たちも帰っていった。すると残った”片翼の獅子”が一斉に溜息を吐き出した。
本当に何があった?
どうにも気になった私は、本当であれば彼らも休ませて報告は明日でもいいかなと思っていたのだがこの場で質問する事にする。
「彼方で話を聞きたいのですが・・・・」
みんな疲れた様子なので心苦しかったが、どうにも気になる。
個室を指し示して伺いを立てると、ジョシュアンが「そうですね、話さないといけないこともあるので」とすぐに了承してくれた。他のメンバーも特に異論は無いらしく無言でうなずいていた。
個室に入りあったかいお茶を”片翼の獅子”のメンバーに私自らの手で出してあげる。ジョシュアンが一口すすり温まったと息を吐きだすと重そうに言葉を吐きだした。
「まず最初に報告があります。”デュッテの森”にゴブリンキングが現れました」
「んぶふっ!」
最初の一言目で私は飲んでいたお茶を鼻から吹き出してしまった。痛い、熱い!
「く、けへ、けほけほ・・・・ゴ、ゴブリンキング、ですか?」
「えぇそうです」
「・・・・・・み、見間違いでは?」
信じがたい話に言葉を詰まらせた。
”デュッテの森”、タルバンの街から歩いて2時間もかからない場所の中規模な森だ。生息しているのはファングボアやスライム、ゴブリンなどの低ランクの魔物ばかりで、別名”初心者の森”とも呼ばれている。
ギルドの会員となった者たちは最初”デュッテの森”で狩りや討伐をこなし、力を蓄えてから他に挑戦するのが半ば習わしとなっている言わば練習場のような場所。
それゆえに新人の討伐研修もこの”ディッテの森”を使用している。
そこに、ゴブリンキング?
「今までそんな報告は受けたことが無いのですが・・・・・あ、いえ、決して皆さんを疑っているわけではありませんよ。ただ、信じがたいと言いますか、信じたくないと言いますか」
はっきり言ってゴブリンキングなど初心者がどうこう出来るような相手ではない。中堅冒険者たちだって複数パーティーで当たらないといけないような大物だ。
そこで私は改めて”片翼の獅子”のメンバーたちを見る。
見た感じ大きな被害を受けた様子は感じない。防具の破損も無ければケガらしいケガもない。
あぁなるほど魔術師のおかげですか。
魔術師は一人いれば戦士5人分の働きをするといいますからねぇ。魔術師が魔法で牽制している間に逃げてきたのでしょう。
なるほどと巨乳を盗み見ながら一人内心で納得する。
「ゴブリンキングが出てきたのは事実よ!」
弓を背負った小柄な少女が私の言葉に心外だと語気を強めていた。あと視線が何となく胸を見ていたことをとがめられている気がする。
「すみません。そんなつもりはないんです。ただ前例がなかっただけに、なかなか自分のなかで整理できていなかっただけでして」
色んな意味での謝罪をすると勝気で小柄な少女は「ふん」と鼻を鳴らして顔をそらした。ギルド会員にはこういった気性の人が多いので私も慣れたもの、程よく低姿勢で対応するのがコツなのだよ。
「それでは支部長と相談をしてから討伐隊を結成するようにいたしましょう。流石に放置しておくわけにはいかない案件でしょうから」
”初心者の森”である”デュッテの森”にそのような奴を野放しにしては何人の犠牲者がでるか分かったものじゃないですからね。優柔不断な支部長でも直ぐに動いてくれるでしょう。
そう脳内でこれからの予定を組み立てていると、低い身長のわりに筋肉の張りが物凄い男が「必要ない」と不機嫌に言ってきた。
「必要ない、ですか? それはまたなんで、あそこは初心者の方が多く入りますから、ゴブリンキングをそのままって訳にはいかないのですが」
「・・・・・倒したわよ」
ローブを纏った魔術師の少女がぼそりと口を開いた。それにしてもローブの上からでも分かる胸の膨らみ。むむぅ、やはりけしからん!
・・・・・・・・・・・・・ん?
今・・・・何て言った?
「えっと、すみません。何て言いました?」
「ゴブリンキングは倒したって言ったのよ」
魔術師の女性は面白くないとでも言いたげにそっぽを向き、その瞬間大きく胸が揺れたのだが、今の私はそこに意識がちょっとしか行かないくらい衝撃を受けていた。
「ゴ、ゴブリンキングを倒したのですか!? それは、また・・・・はぁ」
1パーティーでゴブリンキングを倒すなんて上位の会員ぐらいしか聞いたことが無い。あ、でも今回3パーティー分の人数がいたから・・・・・・いやいや、いくら何でも登録したての若い新人たちにそれは無理だな。やっぱり魔術師は強力な戦力か。
「あ、あの、出来れば報告書も上げないといけないので詳しい話を聞きたいのですが」
本来は新人たちの適正だったり注意点だったりを訊かないといけないのだが、今はそれどころではないぞ。
「分かりました。僕たちが新人を連れて森から出る途中、ホブゴブリンの群れと遭遇して戦闘になったんです」
「ホブゴブリンですか! それも群れで・・・・・それはそれで問題ですね」
「えぇ、僕も驚きました。ハルさんが来ることを教えてくれなかったら、もっと苦戦していたでしょうね」
「いつも言っている”バラスの丘”ならともかく、”デュッテの森”で出くわしたのは俺様も初めてだったなぁ」
「それでホブゴブリンと戦っている最中に、突然背後からゴブリンキングが現れまして」
「あの時は私も焦ったわね」
「ジョシュがあたしの魔法を温存しておけって言わなかったらピンチだったわ」
よほど大変だったのだろう、頷きあう姿が皆若いのに哀愁ただよう。
「それはまた災難でしたね。それぞれが単独でも大変だというのに同時にですか」
「えぇ、本当です。で、ゴブリンキングが現れて直ぐクラリアンに魔法を放ってもらったのですが」
「あ、因みに規模はどのくらいの魔法ですか?」
「第一階層の水魔法よ。魔力はかなり練ったから規模は中ね」
私も魔法はそれほど詳しくないのだが、魔法には魔法陣の展開で層が分かれ、魔法陣の層が増えるごとに威力も規模も大きくなるのだそうだ。
卓越した魔術師であれば魔力の込め方でその魔法自体の威力も変えることが出来るらしいのだが、話を聞く限りこの女性魔術師はそれが可能な才ある魔術師らしい。
「魔法で片腕と体の一部を破壊しましたが、それでもゴブリンキングは倒れず、僕とドランゴが接近戦を挑みました」
「流石は化け物って思ったなぁ」
そうでしょうね。本来複数パーティーであたるような存在ですからね。”片翼の獅子”みたいに魔術師がいないところは、見た瞬間逃走を選択するでしょうね。
「とにかくタフで力が強い、それが一番の印象ですかね。何度死んだと思ったか分かりませんよ」
ジョシュアンは思い出したのか顔を青くしてぶるりと震えた。
ん? でもそう言うわりには無傷なんだよな、彼ら。
「良く無事でしたね。見た限りケガらしいのもなさそうですが」
「え、ええぇ。それはハルさんがうまく攻撃をそらしてくれましたから」
苦笑いを浮かべるジョシュアン。他の面々も苦い顔をしている・・・・・いや、一人弓を背負った少女だけはどこか誇らしげに胸をそらしている。魔術師の子くらい胸があれば様になるのだが、この子の胸はちょっと残念で、まるで子供が虚勢を張っているようにしか見えない。でもきっと彼女の矢がその攻撃をうまく反らしたってやつなんだろうな。
「そうですか。後衛の援護で事なきを得たのですか。それは弓でそれとも魔法で?」
一応確認してみる。
「いえ・・・・・石、です」
やっぱりそうですか弓・・・・・・・え?
「・・・・・えっと、今なんと?」
「だから石・・・・・です」
「石、ですか? 石・・・・石・・・・石でどうやって?」
一瞬何を言っているんだろうと思ったが、彼らの表情を見る限り嘘ではなさそうだ。
「ゴブリンキングは大木を棍棒みたいにしてまして、それで僕たちに攻撃しようとしてきたのですが、それに、こう、バスンと」
そう言って投げるしぐさをする。
何それ?
「で、石を当てられた棍棒がはじけ飛んで行って」
そう言って両手でパンとはじけるように指を広げる。
何それ?
「今度は残った手で殴ってこようとしたのですが、いくつもの石がゴブリンキングに当たると、ゴブリンキングはこうなって」
そう言って体を丸めて頭を手で覆い隠す。
だから、何それ。
「それで瀕死になったところを僕とドランゴでチクチクとさして倒しました」
「・・・・・・・・」
できればコメントを控えさせてもらいたい。
何だろう、この説明を受けて良く分からない状況に陥るのは。今聞いた話はいったい何の話なのだろうか。私としてはゴブリンキングの驚異の話を聞いていたつもりなのだが・・・・・・どう聞いても小動物をいじめていた話にしか聞こえない。
「・・・・良く分かりませんが、分かりました。取り敢えずゴブリンキングは倒したってことで、いいんですよね」
そう、こういう時は聞き流すのが常套手段だ。報告には優秀な若手パーティーが倒したってことにすればいい。
「それで、その・・・・・その石を投げたのって、後衛はそちらの女性二人ですよね」
今になって気付いてしまった。どう見ても前衛の男二人であるのなら、石を投げた後衛は女性二人のどちららかってことになる。
魔術師の女性・・・・はなさそうだから、そうなると・・・・・・え、こっちのちっこいの!?
「なんだか失礼な視線ね。言っておくけど私じゃないわよ。やったのはハルだからね」
ぷっくり頬を膨らませ否定する弓を背負った少女。
ハル、ですか? そう言えばさっきからちょいちょい名前が出てきていますね。パーティーメンバーにそんな名前いたっけ? いけないいけない、慣れた事務にかまけて彼らの名前を憶えていなかった。胸が凄いって印象が強すぎて・・・・・・将来有望な会員だから今のうちに面識を深めておいてもいいかもしれない・・・・・・色んな意味で。
私は手持ちの資料をパラパラとめくって”片翼の獅子”の名前を確認する。
ジョシュアン、はリーダーの彼。クラリアン、は巨乳ローブの子だよね、魔術師ってあるし。ドランゴは、名前的にちび筋肉だろ。それとミラニラ、これはお嬢ちゃん・・・・・あれ、ハルって名前が無いぞ。愛称? いやそれらしい名前もないし。
・・・・・・・・・・もしかして。
慌てて別な資料を手に取り同じようにページをめくる。
・・・・あった。
それは今回参加した新人会員の名簿の中。
これって、ソロの年いった黒髪の男ではないか。
「あの、ハルさんって、もしかして新人、じゃないですか?」
「・・・・・・そうです」
「・・・・・・そうなんですか」
「・・・・・・はい、そうです」
「・・・・・・」
しばしの沈黙。
うむ、良く分からないのは報告書で丸投げだな。うん、それに限る。
わざとらしく喉を鳴らして場を切り替える。とりあえず何だか疲れたので言うことを言ってもう早く帰ろう。
「ゴブリンキングの報告は私の方で支部長に上げておきます。皆さんが無事に戻られて何よりです」
「ありがとうございます」
「それとは別件ではあるのですが、先日領主様より手配書が出されているのですが、御覧にはなられましたでしょうか?」
頭が痛くなりそうなことは流すことにして火急の案件を伝える。
ジョシュアンは私の問いかけに首を傾げる。
今朝張り出したものだから見ていないだろうとは思っていたので、彼らの反応は予想通りだった。
「今回の手配書には王命が含まれていますので、知らなかった、と言うのはギルドとしましても看過できないことになりますので、この場でお伝えしておきます。詳細は後程依頼書の掲示板でご確認ください」
”王命”の所で神妙な顔になる”片翼の獅子”のメンバーたち。そうなるでしょうね。私も最初これが持ち込まれたときは同じような反応をしてしまいましたから。
しかもこれは厄介事にしかならない手配書だ。とくにタルバンの街は位置的にそれがいる可能性が高いのだから。
「内容としては無傷での捕縛。手配者は先の戦争の敗戦国ノーティリカ公国第一公女」
私はその厄介な相手の名を彼らに告げる。
「戦犯、ステルフィア・アーデヒト・ティル・ノーティリカ」
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