ファンタジーには馴染めない 〜アラフォー男、ハードモード異世界に転移したけど結局無双

nov

1章 迷い人編

第1話 ご都合主義はどこ行った

 わたくしは今、恐らく北の方の開拓村にやってきております!


 こちらに滞在して1週間くらいになるんですが遂に!ようやく!マイホームが完成しました!


 あの過酷な作業の合間に少しずつ部材を集め、道具も無い中でも苦労して作りあげた草製マイホーム!





 ……即行で殴る蹴るの上、奪われて追い出されました。




 うん。何かもっと建てろと言われている雰囲気です。若者3人衆にがなり立てられています。


 ここでは殴る蹴るの肉体言語もしくはジェスチャーしか通じないので多分そんな雰囲気です。



 せめて道具貸して下さい。石器は辛いです。


 そこの手斧的なの借りてオッケー?


 ……あ、オッケーなの?


 何だよ早く言ってよもー。貸してくれていたらもうちょっと早く出来ていたよ?


 態々わざわざ、家が完成するのを待ってから殴りかかってこなくても平和にやれたと思うよ俺達。




 朝から日暮れまでの、川へ水汲み&石拾いからの柴刈りローテーションから抜けていいかな?いいよね?


 早く雨風をしのげる所を作らないと年少者と高齢者がヤバいよ。死んじゃうよ?


 それにしても、あんなテントみたいな草製マイホームでも嬉しそうだな……。


 精々、大人3人が横になれる広さしかないんだけど。




 まぁここの住宅事情を考えるとさもありなん。






 この開拓村は村民総勢10名、多分俺も含めて全員奴隷。


 広さは50坪くらい、1.5メートルから2メートルくらいの不揃いな木の柵に囲われていて、粗末な掘建小屋ほったてごやが一つ。


 ただし、奴隷頭ぽいのとその取り巻き2人、紅一点の中年女奴隷の4人がその掘立小屋を占有しているため、その他の6人が雨ざらし吹きさらしの野宿状態。



 木の柵の角にツルを這わせて大きな葉っぱ載せて何とか雨を凌いでいるんだが、夜中はちょいちょい大きな狼みたいのがガウガウ来襲する。

 最初は柵の隙間から石投げたりしていたけど、最近は慣れたのか寝不足なのかみんな放置してる。


 柵側は割とデンジャラスなのでやっぱり避けたいよね。




 開拓村の外は背丈くらいの藪。少しずつ柴刈りして支配エリアを広げるのだ!っていうのが恐らく開拓村のミッション。


 しかし、誰もまともに柵の外に出ようともしない。なんやかんやと理由を付けて弱者が外に追い出されている様な状態。


 これインポッシブルじゃね?




 北側と西側には山々、山間から流れる川が村の東側を通って南の城塞都市まで多分続いているはず。


 こっちの世界に来た時の城塞都市に……。

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