転生銀髪美少女は勇者にすべてを任せて楽に生きたい
美浜
第1話 ここは......どこ?
「あれ? ここは......どこ?」
目を覚ますとそこはいつもの天井ではなく、空を覆い尽くすほどの緑が広がっている。
背中に感じるのは、硬くて湿った土の感触。
どうやらここは森の中のようだ。
ときおり吹く風は、僕の長い髪をなびかせてとても気持ちがいい。
「えっ?」
いや、おかしい。僕は男だ。
確かに女顔でよくからかわれたりしていたが、髪は普通の男と同じくらいの長さだったし、こんなにさらさらとした髪でもない。
それに......
「何で銀髪!?」
確かめるために髪を見てみると、そこには見慣れない銀色の髪が。
どうなってるんだ......?
......まぁ髪の色が変わったのはとても驚いたけど、それ以上に驚くことを見つけてしまった。
「何で裸!?」
髪を確かめるために下を向いたときに、自分が服を着ていないことに気づく。
さっきから妙にスースーすると思ったら、裸だったのか。
「あれ? なんか、膨らんでない?」
胸に手を当てると、今までに感じたことのない膨らみを感じる。
嫌な予感を感じ、下も同様にするが......なかった。
「......」
どうしましょうかね、この状況。
スマホも持ってないわけだし、とりあえず移動しなくちゃ。
人を探さないと。
あー、喉、乾いたな。
近くに自動販売機ないかな?いや、金ないか......。
じゃあ、せめて川でもないかな?
耳を澄ませて見ると、微かに水の流れる音がする。
僕はその音に導かれるように、森の中を裸で進むのだった。
なんかこれ、他人から見たらヤバくないかな?
僕は好きで裸になってる訳じゃないんだけど......。
しばらく歩くと、綺麗な川にたどり着いた。
我ながらに凄いな。ここからさっきいた場所まではそこそこ離れているはずだけど。
なんか耳がよくなった気がする。
「......んっ」
水に触れてみると、冷たくてとても気持ちがいい。
飲んでも大丈夫かな?
ゴクッ
うん。なかなかに美味しい。
さっき起きたばっかだし、ついでに顔も洗っておこう。
この川の周りには木が生えていなくて、太陽の光をのびのびと浴びることができる。
そのせいか、手ですくった水に、銀髪のとても整った顔の美少女の姿が映し出される。
「......」
もう、驚かないぞ。覚悟はしていたんだ。
とりあえず顔を洗い、気持ちを落ち着かせる。
そして再び水に映る少女を見つめる。
ずっと見つめたままだが、少女もこちらを見つめたままである。
右手を挙げると、彼女も右側の手を挙げる。
ウインクをすると、彼女もウインクをする。
ヤベッ。むっちゃかわいい。
......そろそろ認めるしかないようだ。
どうやら僕は銀髪美少女になってしまったらしい。
嬉しいような、嬉しくないような。
親にこの状況をどうやって説明しようかな......。
とりあえずこのままずっと川の中にいると風邪をひきそうなので、川から出ることにする。
できればタオルがほしいところだけど、自然乾燥しかないかな。
こんなに天気がいいわけだし、森の中に入らなければ日当たりはいい。
川が流れる方に進んでいけば、一人くらい誰か居るよね?
あー、でも今裸だし、女の人は嫌だな。
いや、違うか。今の僕は心が男でも体は女の子だし、女の人がいいかな?
男に襲われるとか恐怖でしかないし......
すると、なぜか調子のいい僕の耳が、あまり聞き慣れない音を拾う。
キンッ キンッ
それは金属と金属が擦りあう音。
何の音かはわからないけれど、人がいるのは間違いなさそうだ。
女の人がいいな......
そんなことを思いながら音がする方向へと進んでいくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます