第65話

女の子って、この手の話が好きなのかな?

マンガや小説では、女の子は、この手の話が好きなんだよね。

本当に好きなのかな?

僕は、じっと先輩の目を見つめた。



「こら、黙らないの!」


「あ……

 ごめんなさい」


「私ね、目が見えないから彼方君の表情とかわからない。

 だから、悲しいとか怒ってるとかもわからないの。

 だから、出来たらで良い。

 思った事は口に出してくれないかな?

 あと、敬語は止めていいよ」



みさき先輩は、涙目で僕の方を見つめた。



「ごめん。

 僕、話す事が苦手で、何を話したらいいかわからないから……」


「え?

 お話苦手なの?」


「うん」


「じゃ、私が特訓してあげる!」


「え?」


みさき先輩がニッコリと微笑むと、僕の体を抱きしめた。

何が起きたのかわからない。

僕の胸の鼓動が速くなる。

でも、みさき先輩は、そんなのお構いなしに言葉を続けた。



「私が、彼方君をプロデュースしておしゃべりな人格に変える!」


「でも、僕は僕の声が嫌いなんだ……」


「私は、可愛い声だと思うな」

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