第63話

先輩の目がキラキラしている。

僕は、女の子のこんなキラキラしている目を見た事がない。


女の子って、こんな風に笑うんだな。


僕は、そんな小さな事に感動していた。

僕は、もっともっとみさき先輩の笑顔が見たいと思った。

でも、どうしたら喜んでくれるかわからない。


僕には、人を喜ばす術を知らない。

僕には、みさき先輩を喜ばす方法がわからない。


他の人なら知っているんだろうな……


僕は、大きなため息をついた。



「どうしたの?」



みさき先輩が、僕の頬を手で触った。



「不安な事があるの?

 なんでも、先輩に言ってみ?」


「な、なんでもないです」



まさか、貴方の事で悩んでいるなんて言えない。



「お姉さんに言えない事?」



先輩からお姉さんに変わったし……



「もしかして、恋の悩み?」



先輩の目が再び輝き始めた。








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