第34話

「くそが、くそが、くそが!」



岡村は、そう言って何度も何度も池宮君を殴った。

池宮君は、その攻撃を避ける事なく受け続けた。

そう……

何度も、何度も、何度も受け続けた。


だけど池宮君は、抵抗しない。


このまま池宮君が殴られ続けるのは見たくない!


僕が、気付いた時。

僕は、岡村の顔を蹴り飛ばしていた。



蹴り飛ばしたのは、優でもない。

蹴り飛ばしたのは、日向 彼方。


僕自身だった。


岡村はと言うと……

鼻血を流しながら泣いてどこかに去っていった。



「助けてくれてありがとう」



池宮君は、そう言うとニッコリと笑った。



「どうして、殴り返さなかったの?」



僕は、勇気を振り絞って聞いてみた。



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