第6話 メシ奢るから。
「どーして私が、知らない
翌日の帰りの電車の中で、さっそく切り出したところ、人見知りの瑠奈は予想通りの反応をした。
「まあ、そう言うなよ。今回だけにしとくから。」
なだめながら、瑠奈がなびきそうな店を考える。
「焼き肉食べ放題でどうだ?」
「緊張して食えないし。そもそも、イヤなんだけど!」
「頼むよ。そいつも交えて折り入って相談したいことがあるんだよ。おごるから。」
「やだ!」
「頼むよー。」
「弱味でも握られてるの?」
「そ、そうなんだ!弱味!弱味を握られているんだ!頼むよ!」
学は、もうヤケである。相談ごとも弱味も存在しないのだ。しかし、学としては、この男勝りな瑠奈とデキているという誤解は解いておきたい。焼き肉屋に行くと、ライス大盛りで肉をがっつく、このチビの大食いは、男と変わりないと、ぜひご理解いただきたいところなのだ。でないと俺の良縁が遠のいて、親の望むように見合いなんてことになったらと思うとゾッとする。
「…そういうことなら。ただし!デザートの揃った店ね!」
「助かった~。また決めて連絡するから!」
瑠奈と別れてから学は拓也にLINEを入れる。
『焼き肉食べ放題、デザートの充実してる店でOKが取れた。どこか知ってるか?』
『こら待て。なんで憧れの瑠奈ちゃんとのご対面が焼き肉屋なんだよ!ちったあ考えろよ。オシャレなセッティングにしてくれよ。』
すぐに拓也から怒りのスタンプと共に返信が来た。
『気楽な感じの方が良いみたいだぞ。』
「お前を夢から覚ましてやる。」
最後に返信をしてから独り言を呟いた学だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます