第40話 見送り
「ありがとう、レイカ。すごく楽しかった」
「こちらこそ、来てくれてありがとう」
パレードも王都でのお祭りも終わり、マリエッタ達が帰るときが来た。隣ではジャンが丁寧にオイヴァにお礼を言っている。
お祭りは直接見れなかったが、行ってきたみんなから話はたくさん聞けた。特に『異世界体験』をしている家族やジャン達の話は興味深かった。昔は自分も驚いていた所でびっくりしているのを見ると、自分はこの世界に慣れたんだな、と実感する。
マリエッタとにこにこと微笑みあう。頻度はそこまで多くはないだろうが、きっとまた会える機会はある。だから見送る時は笑顔で、と決めてるのだ。
寂しいのは寂しいのだが。
「勇者の件だけど、私たちも何か出来るように考えてるから」
そう言ってくれるのは本当にありがたいが、あちらから出来る事というのはあるのだろうか。
首をかしげてしまいそうになるが、堪える。それは失礼だ。
だから、ただ、『どうもありがとう』とだけ答える。
「ああ、そちらで何かしらの成果があったら伝えてくれ」
「はい。それはもちろん」
そう約束してくれる。ただ、もし、本当にいい方法があるのならいいな、と思う。
「また手紙書きますね」
「ええ」
その時は紛失しないように気をつけなければ、と思ってしまう。
ただ、二人の手紙は麗佳が解読出来るので問題はないはずだ。それに、敵の隠密があそこに来るなんて滅多にない事だ。
今は安全のためにそういう時はきつい結界を張っているのでなおさらだ。
こちらとの文通は魔法を使うので、瞬時に届く。手書きなのにメールみたいだね、と笑い合う。
名残惜しいが、時間が来たので、オイヴァが転移を発動させた。ジャンの部屋につながるようになってる。
楽しそうに手を振りながら二人はフランスに帰って行った。
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