あめだまじんせい

 ころころ ころころ


 ざり ざり


 ばき ばき


 ……僕はいったい何をしているんだろう……

 深夜1時。飴玉をなめその音に浸りながら僕はそんなことを考えていた。なんで飴玉なんかなめようとしたのだろう。馬鹿なのか?馬鹿なのか。

 部屋には、一定のリズムを奏で続ける磁石の振り子が揺れている。一方に電磁石を使っていて、電池が強いせいか一週回りそうだ。かちかちかちかち。なんか頭から考えが抜けていきそうになる。そんなリズムだ。ふと、国語の時間に習った平家物語を思い出す。諸行無常とはこんなところか。んー、まあなんとも安っぽく感じる。

 飴玉がなくなったので2個目を口に放り込み、平家物語に思いを馳せる。2個目が砕けそうになったところで、盛者必衰のうんたらかんたらっていうのもあったな、あれ、飴玉と少し似てるな、と、いきなり思った。


 口に放り込んだら、その味のため長く転がされ、


 小さくなったら噛み砕かれ、


 そして消えていく。


 なんとまぁ儚く壮大なことだろう。飴玉すごい。飴玉一つに人生は集約されているのか!その後、飴玉を人に関する色々なことに当てはめた。勇気とか、愛とか、青春とか。その全てが楽しいわけではなく、悲しいことにも気づけたりして、僕は面白く思った。人生という飴玉。刺激的で、甘く、少しに苦くもあるこの飴玉は、この先どう形を変えるだろう。そんな楽しみももてた。


 気分が高まり、ふと時計を見る。午前1時半。僕は何をやっているんだろう、と現実に戻された僕は歯磨きをして布団に戻る。きっと今の味は無味なんだろうな、と思いながら目を閉じた。



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