第4話表向きはファッション部

 翌日の放課後。


 魔法少女部とやらの一員になった私は、再び彼女等に呼び出された。


「はぁ……はぁ……お待たせ」


「遅いわよ」


「五分遅刻だぞこらー」


「うるさいなぁ、こちとら委員長だからあんた達と違って忙しいのよ!」


 空き教室には、昨日と同じメンバーが揃っていた。


「もしブラウンが出現したら、遅刻とか言ってられないんだぜ」


 この謎の生き物もだ。


「さっそくだけど……」


「委員長、まずは制服登校、やめよっか♪」


「は……?」


 いきなり何言ってんの、この二人。


「オレから説明させてもらうぜ」


 もはやゴンは解説役なのか。


「ブラウンは人々の個性を狙うと言ったが、正確には誰もが持っている『カガヤケル』を奪うのが目的……いや本能なんだぜ」


 またしても難解なキーワードが……。


「魔法少女はカガヤケルの力でブラウンと戦う。カガヤケルが弱い人間ほどブラウンに狙われやすくなる、だから……」


「委員長にも、ブラウンと戦う以上、最低限のカガヤケルを持っていてもらわないとね」


 真白が割り込んでくる。


「それと制服と何の関係があるのよ?」


「つまり~委員長にも、魔法少女になってもらわなきゃ、ってコトだよねっ」


「いや、魔法少女になる為にはカガヤケルが八十パーセント足りないんだぜ。服を変える程度じゃ無理だ」


「なーんだ、残念」


 よくわかんないけど、誰がそんなことやるか。勝手なこと言ってくれちゃって。


「もうひとつ、魔法少女部は表向きにはファッション部として活動するわ。制服なんて論外よ」


 ファッション部?


「まだ部員は三人しかいないから、ファッション同好会かしらね」


 ちょっと待ってよ。


「と、いうわけで、委員長に似合いそうな服、アタシ達で用意してきたよーん。さぁ、片っ端から着ちゃおうか!」


 二人が服を持って、こちらににじり寄ってくる。


「ちょっと……や、やめて!」


「ふふふ……観念しなさい」


「さー、脱げーっ!」




 何着の服を着せられただろうか。


 私はもう完全に二人の玩具になっていた。


 もう、どうにでもして。




「おお~」


「悪くない……ぜ」


「思ってた以上の……逸材」


 上はゆったりとした白のクロップドシャツ。


 下はデニムのコットンサーキュラースカート。やや大きめ。


 眼鏡をはずし、黄色のシュシュで髪を結び、サイドポニーテールに。


 は、恥ずかしい……。


 オシャレは好きじゃないんだ……トラウマが……。


 いつの間にか、私は両腕を二人にガッチリ固められていた。


「委員長、あなた、いいわね……。水江に続いて、私の下僕二号にしてあげてもよくってよ、ハァハァ……」


「若菜っち~、アタシら今日から親友だね♪これからも、末永く、ヨ、ロ、シ、ク、ね☆」


「はーーなーーせーー!!」


 この日、魔法少女部兼ファッション同好会が誕生した。

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