第二百二十七話
これから1話の文字数を5,000前後から3,000前後にします。
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ホームに戻ってくると、フラビアが訪ねてきた。
一人で訪ねてくる事は珍しくはないが、表情が硬いなにか有ったのか?
フラビアの話を聞く前に、シロとロックハンドでのことを話して聞かせた。
状況を把握していなかったようだ。
「ツクモ様。本日は、どうされますか?」
今日もなにもしばらく予定らしい物がない。
暇じゃないけど、やることがなくなっている。
「ん?ホームで結婚式の準備をしようかと思っているぞ?外を歩いているといろいろと煩いからな」
準備も何も無いのだけど・・・。その位の見栄は許して欲しい。
「それでしたら、後ほどお時間を頂きたいのですがよろしいですか?」
「問題ないけど?今でもいいぞ?」
今来たばかりで後での予定?
「いえ、一度リカルダと話をして、シロ様の護衛にリカルダもつけようかと思っております。よろしいですか?」
あぁそういう事か?
それにしても、今日は一人で来た理由もなにかアルのだろう。
「そうだな。リカルダにはシロの事を見張ってもらっていれば、準備も捗りそうだな」
そろそろシロに言わなければならないのだろうけど、リカルダに一緒に居てもらえば告げるときでもフォローができそうだな。
「はい」
「そうだな。それじゃ、頼む。まだロックハンドの街に居ると思うが、暫くしたら森に入ると思うぞ?」
「わかりました」
慌ただしくホームを出ていくフラビアを見送った。
よく考えると結婚式の準備といいながら俺がする準備はそれほどなさそうだ。
流れの説明も終わっている。食事の下準備の必要もなさそうだ。規模の確認はしておきたいけど、もう手遅れだろうからな。開き直るしかない。
それに、元老院がいろいろ考えてくれるだろう。俺が今更横から口を出しても・・・。
2時間くらいホームでやる事を探していたら、フラビアが戻ってきた。
「ツクモ様。少しお願いがあります」
いきなり頭を下げてきた。
「なんだ?」
「私・・・じゃダメですね。ローレンツに、アトフィア大陸に一時的に帰る許可をいただきたい」
どういう事だ?
「ん?別にいいぞ?そもそも、禁止した記憶も無いのだが?」
「え?」
「ん?なにか誤解していないか?俺は、宗教を否定しないぞ?ただ、俺には合わないだけで、できるだけ遠くで幸せになって欲しいだけだ」
「え・・・と、いろいろ、申し訳ない」
フラビアが謝罪したが、別に気にしなくていいと思っている。
「いい。それで、なんで急に、アトフィア大陸へ?教会に行くのか?」
「いえ、姫様・・・。いえ、シロ様のことをご報告に誰かをシロ様のお父様が眠っていらっしゃる場所に派遣しようという話になったのです。それで、お父様にもシロ様が幸せになったと・・・。あの・・・。その・・・。ツクモ様?」
「話が見えない。最初から話せ」
フラビアの話を聞いて納得した。
本当なら、フラビアが行きたい所だろうけど、シロの準備がある。そのために、次に信頼できる者として、ローレンツがシロの父親の眠る場所に報告に言って、シロに父親が眠っている場所に咲いている花を持ち帰ってきたいという事だ。
「わかった。それは許可しよう・・・。そもそも、禁止もしていないのだけどな」
本当なら俺がいかなければならない。
情勢が安定したら、シロと眷属たちで行ってもいいかもしれないな。
「わかっています。ツクモ様が禁止していないのは・・・。ケジメが必要だという事です」
ケジメ・・・か、そうだよな。
一応、フラビアもリカルダも自由にさせているが、捕虜である事は間違いないからな。もう返すつもりは一切ない捕虜だけどな。
「わかっている。律儀だな」
「当然です!」
急に、フラビアは大きな声を出す。
俺の足元で休んでいたライがびっくりしたくらいだ。
それから、フラビアの俺を目の前にして、俺を褒め称えるという羞恥プレイを受ける事になった。
どうやら、俺がシロを選んだことでテンションが上がり続けているようだ。
シロ以外に誰か居たか?と、いうことを呟いてしまったのが悪かった。
それから怒涛の説明をされた。
途中で止めて欲しいと思ったのだが、止めてしまったらまた違う話を聞く事になりそうだったので、フラビアが落ち着くまでそのまま話を聞いている事にした。
「フラビア」
少し落ち着いてきたので、話を切るように問いかける。
「え?あっ・・・。失礼しました。はい?」
「シロの護衛は大丈夫だったか?」
「問題ありません。表立っては、リカルダとアズリ殿がついております」
「ん?」
「ティタ殿。エーファ殿。レッチェ殿。エステル殿が周りを見張っています」
「過保護すぎないか?」
「え・・・。ツクモ様?」
あっまた何か地雷を踏み抜いたか?
やはり・・・。フラビアが、止まらなくなってしまった。
言われてみれば、今回は俺が悪かった。確かに、シロは大事な存在だ。
でも、言い訳を言わせてもらえば、あの森に住む魔物でシロとリカルダが一緒で勝てない魔物が居るとは思えない。
確かに集団で襲われたら怪我程度はするだろう。その集団もアズリがいれば100程度ならどうにかしてしまうだろう。それに、100の集団になった時点で逃げ出すくらいの事はシロもリカルダもできるだろう。
ロックハンドにたどり着けば、ホームに救援を出す事もできる。できるよな?シロ・・・。戦おうとしないよな?しっかり救援に戻ってくるよな?
急に心配になってしまったが、フラビアの話から眷属もついているようだから大丈夫と思う事にする。
「フラビア。それで?」
「?」
「なにか用事が有ったのだろう?ローレンツの事はわかったけど、それだけなのか?」
「そうでした!ローレンツ関連で、ツクモ様は、シロ様との婚姻の時に、何に誓われるのでしょうか?」
「ん?」
言っている意味はなんとなくわかるのだが、この世界の神に誓うつもりはない。
ないのだが、それを言えるような状況ではない。そのくらいの事はわかる。
「ツクモ様?」
「あぁ悪い。俺は神にシロの事を誓わない」
「え?」
心底びっくりした表情をする。
「フラビア。俺は、お前たちに誓う。もちろん、フラビアとリカルダだけではない。この街に住む・・・。違うな、この大陸に住む者すべてに誓う。シロとの結婚を・・・。お前達の前でお前達が見ている神々に聞こえるように誓う事にしたい。ダメか?」
お?
いい感じか?
「ツクモ様。それほどシロ様のことを・・・」
なぜか涙ぐむほどに感動する所がある?
「ん?」
想像と違う反応だけど、まぁ気にしてもしょうがないだろう。
「そうだな。だから、どこの神に誓うとかは考えていない。俺は、シロを守ることを、お前たちに誓う」
「わかりました。それならば、ローレンツを急かして、シロ様のお父上をお迎えしなければダメですね」
「そうだな。しっかり見届けて、安心して欲しいからな」
「そうですね」
フラビアが遠い目をする。
何を考えているのかわからないが、シロの父親の事を尊敬していた事がわかる。
「頼む。時間が厳しければ、元老院に相談してくれ」
「わかりました」
フラビアが立ち上がってホームから出ていく。
式の時にしゃべる必要が出てきそうだな。
いや、確実に組み込まれるだろうな。アドリブで乗り切れるとは思うけど、考えておくほうがいいのだろうな。
今更辞めるとは言えない。
結婚が嫌なわけじゃなし、シロの事は大切にしようと思っている。それは間違いではない。
準備はほぼ終わったと思っていいかな?
俺が動かなければならないのは・・・・。あとは、服装だけ・・・と思う。服も、シロの方に注力すれば、俺は少なくていいだろう?
正装だけで十分だと思うのだけどな。
ダメなのか?
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