ヘルモクラテスは反抗期 <モフモフコメディ>甘い扉・Ⅲ
来冬 邦子
第一話 拗れてますが、なにか。
『 バイバイ
不夜城の摩天楼 花火が夜を裂く
怒声 嬌声 第三惑星
夜明けまで
年中 街中 シャンデリア
暗い夜なんか 許せない
コンビニエンスは
かくて 自律神経を 病む地球
マントルは 不眠症
箱船は 滝の上 アンモナイトが嗤う
六度目の大量絶滅
気がつけば 絶滅危惧種
火星の夢見て ゲームアウト
色褪せた地球に嫌われた 俺ら
終末の限界種族
生命連鎖にはじかれた 俺ら
終焉のマイクロプラスチック
償うあてもないなら
せめて滅び去れ 一人残らず
罪深き生命の果てに
闇に消え落ちる 花火のように
バイバイ
<作詞・作曲 ヘルモクラテス>
渋谷の方角に月が沈む。
ブロンズ弦をかき鳴らして、俺はアウトロに魂をこめた。
もちろんミュートは付けている。
ここは都内のとある墓地だ。
森みたいに広くて静か。
うるさいのは俺一人だ。ほんとすいません。
* * * * * *
<ヘルモクラテス>はペンネーム。本名なわけあるかよ。
うっさいな。中二だよ。
受験とか無いよ。
路上ライヴ? やるわけないだろ。殺すぞ。
何て言うか、なりゆきだよ。今夜、ここで歌ってんのは。
誰も聞いちゃいない、てか人っ子一人いねえし。
こんなもん、晒すわけないだろ。親だって知らねえよ。
いつだって布団かぶって作ってんだよ。鼻歌も聞かしたことねえよ。
誰かに聞かれたら即死ぬから。意志の力で心臓止めるから。
考えただけで、ああああああああああああああああああああ! ってなるからっ!
でも本当は、思いっきり声張って歌いたいだよ。でもムリ。
俺の詩。俺の歌。俺の声。誰かに聞いて貰いたい。
あわよくば褒められたい。でもムリ。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!
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