00-2 ようこそ、CIAへ

 「ようこそ、我がインシデントレスポンス専門のセキュリティチーム 通称CIAへ。チームリーダーの友橋だ。チームとしては結成してそれほど経っていないので、人数は多くない。以前いた部署とは所帯が小さいのでびっくりしていると思うけど、これから宜しくね」

 「はい、宜しくお願いします。」

 と紹介されたものの、私は違う畑にやってきた不安で平らな胸がいっぱいだった。

「ちなみに綾瀬さん、以前会ったことあるんだけど、覚えてない?」

「え、はじめましてだと思いますけど」

「え、まじで・・・」

「・・・」

 

 友橋京、セキュリティチームのチームリーダー。チーム結成時からのメンバーで、身長170cmくらい。中肉中背の至って普通の人のようでありながら、さわやかすぎて30代半ばという年齢を感じさせない若かりし執行役員。20代でも通用するのでは?と思う。


 「京さん、誰かと勘違いしているのかもしれませんけど、ヒカルちゃん、怪訝な顔をしてるじゃないですか」


 えー、と口を尖らせている友橋をよそに、突っ込みを入れるのはこのチームの紅一点、青山さん。

 「私は、青山 春佳っていいます。もともとは別な部署にいたんだけど、少し前にこのチームに配属になったからヒカルちゃんより少し先輩になるかな。あとヒカルちゃんって呼んでいいかな?」

 「はい。これから宜しくお願いします。」

 と答えつつ、そのすらっとした長身と美しい黒髪ロングのストレートヘアなお姿に見とれてしまう。短身で淡いブラウンのショートヘアで普通のパンツスタイルのスーツな私と対照的すぎた。


 しばらく見とれてしまっている隙に、リーダーから

 「しばらくはこのチームの業務・雰囲気になれてもらうことが先決かな。メンターを付けておくからわからないこととか困ったことがあったら篤に相談してね。」

「篤?さん?」

 室内にいくつか設置してある会議室用のパーティションの隙間から手を振る人がいるのが見える。

 やがてこっちに向かってくるその人は、友橋に似た体格であるものの、眼光が鋭い。

 私の前にたどり着くと、篤と私との身長差が20cm位ありそう。どうしても見上げる形になってしまう。

 「赤坂篤だ。これから宜しく」

 「こちらこそ、宜しくお願いします」

 「篤とともに行動していれば実地で学ぶことも多いだろうから、どんどん吸収してくれることを期待しているよ」

 とまぁ、そんな感じでチームへの紹介があっさりと終了した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る