第897話 チビッ子編 👻 はじめてのおつかい(4)見終わって

 ビデオを見終わって、冴子姉、美里、千穂さんは騒がしかった。

「うわあ、怜君も司さんもかわいい!」

「怜が泣いてた!」

「司さんが過保護!」

 女性陣がぎゃあぎゃあと姦しい。

 そして敬は、

「お父さん、子供の頃からお兄ちゃんなんだね!」

とそこに感銘を受けたらしい。

 凜と累と優維ちゃんは、お使いというものに興味を持ったようで、

「父さん!僕も!お使いできる!」

「ボクもボクも!」

「あ!私も行きたい!」

と、お使いに行く気満々だ。

「行けるか?」

「ん!」

「優維。お姉ちゃんだから、累と凜の事、面倒見られるかねえ?」

「できるもん!」

「累、お姉ちゃんの言う事をちゃんと聞ける?」

「できるよ!」

 それで大人達は、目を見交わした。

「じゃあ、おやつを頼もうかな。公園の向かい側にできた、こけし屋さんで、桜餅を10個」

「こけし屋さん。お店の前に、女の子の人形がある所!」

 優維ちゃんが思い浮かべて頷く。

 凜と累はうんうんと頷いて、

「桜餅」

「ピンクで、葉っぱが付いてるやつ」

とやる気をみなぎらせる。

 敬は、密かについて行く気満々らしく、そわそわしている。

 僕は財布を出して、

「じゃあこれは、代表して優維ちゃんに渡しておこう。

 さて。着いたら何て言う?」

と訊く。

「こんにちは!」

 チビッ子3人は、声を揃えて返事した。



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