コケティッシュマスコット

悩みがなく、能天気で、明るく楽しい女は思ったよりモテた。

親から露骨な愛情を受けていないので、男からの直接的な愛情が単純に嬉しかった。

こんな自分でも良いのだ、と自信も付いた。


足りなかった何かを補う様に、男に走った。

男の家に転がりこんだりもした。

家にはあまり帰らなかった。


好きだと言われればすぐ体を許した。体の関係だけでもよかった。

セックスの時は男は優しくしてくれる。体なんてどうでもよかった。

何でも良いから、自分を見て、好きだよと優しくしてほしかった。


ただ、愛情の返し方が分からなかった。

プレゼントをもらった時の喜び方、ヤキモチの焼き方、愛してると言われた時の笑顔の仕方。

どこか、演技の様なぎこちなさがいつもあった。


男の愛情だけでは、全ては埋まらない。

どこか虚しさが残るのは、なぜなんだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る