第11話ここの冒険者たちはろくにクエストを受けてないらしい。

「何者ってもよくわかない、けどあの怪物を倒したからかもしれない」



「怪物ってどんな?」



「マンモスみたいにでかく、鼻にツノがはいていて曲がっていたやつかな」



俺はあの時の情景を頭に思い浮かべながら答える。



「え、それってガースドマンモスではないでしょうか?Sランク指定危険モンスター、まだ誰も倒したことがない、倒せないモンスターなんですよ」



「多分そいつかな」



「やっぱり!だから、こんなにもステータスが高いんですね!納得です!でもどうやって倒したんですか?こんな怪物を」



「俺もわからないんだ、勝手に力が湧いてきて、気付いた時には殺していた」



「そうですか...でも聞いたことはあります。人は逆光に晒されるほど人外の力を出せると」



「確かにあの時は必死だったな」



「竜二、貴方は勇者だったんだな。正直私も驚いている」



俺の横にいたエリシアが会話に入ってきた。



「いや...おれ、」



「竜二さん私もビックリですよ、もしかしたら竜二さんならこの国、いや世界を救ってくれるに違いないですよ」



「お前って勇者なんだってー」「勇者様が現れましたの⁈」「勇者様⁈勇者様ー私と結婚してくださいー」「みんなーこっちきて祝おうじゃないか」



酒場の方から沢山の人たちが集まってくる。

なんなんだこいつら。



「勇者様が現れたということで、みんな分かっているな」



「え、そんな急に...」



数人に取り押さえられ胴上げの状態にさせられてしまった。



「では、みんな盛大にー」



「えっ」



「バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」



「ちょっっ、やめて下さーーい」



なおも胴上げが止まらない



「バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」



「そんな高くしたら落ちますよ!」



酔っているか知らないが、胴上げの高さが尋常じゃない。天井までは床から10メートルぐらいあるはずなのに、今はその天井が目の前まで来ている。

案の定、俺が言ったとおり、高くしすぎて、誰も受け止めれずに、真下に落ちた。



「何してくれてんだーー!」



「すまん、うちらも嬉しいすぎてつい調子乗っちまった見てぇーだ」



貫禄のある、いかつい形相のおっさんが謝罪をして来た。



「まぁ、大丈夫ですよ、これからは気をつけてくださいね」



「あぁ、悪かった」



酒場にいた人らが、酒場に戻っていった。






「竜二、散々だったわね」



参加せず、傍で見守っていたエリシアに声をかけられた。



「俺は一生、この人らとは馬が合わない気がする」




「私からも謝罪します。この国では最低限のことしか冒険者は働かず、それ以外はいつもああやって騒いでいるんですよ、だから勇者が現れたと聞いてみんな嬉しがってたんです。仕事を押し付けられるって。だから気をつけてくださいね、この国の冒険者さんには」



「いえ、そんなー、お姉さんまで謝罪してもらわなくても、ですが俺はクエストたくさん受けるつもりです!お金も稼ぎたいし、自分の力も試したい」



「ありがとうございます!クエストが溜まりに溜まって大変でとても助かります」



「でも、竜二私は貴方を選んで正解だったみたいね、私の魔眼おかげだわ」



「こっちのセリフだって、俺もエリシアで良かったよ。それと魔眼って?」



「そうなんだ...私のはね、人のマナを見れるってそれだけなんだ、だけどマナの動きで相手が嘘を言っているのかぐらいはわかるわ」



エリシアは少し頬を赤らめる。



「エリシアってすげーな!強くて魔眼まで持っているなんて」



「そんなことないわ、強さで言ったら竜二にかなうものなんて誰もいないわ」



「強いのかはまだ試さないとわからないが早く試したいな」



ティシフォネの件もあるから自分の力を過信さではならない。

実際に確かめるまでは自分が強いのか判断できない。しかも自分が勇者だなんて。



「では、竜二さん、これで冒険者登録は完了しました。この紙は絶対に無くさないでくださいね、再登録はとてもめんどくさいので」



「おう、わかったよ、ありがとねヴィーナスさん」



「はい、竜二さんも冒険者として頑張ってください、それとエリシアも」



「おう」「はい」



「これからどこ行くんだ?エリシア?」



「さっき言ったじゃないか、食事に行くって私が奢ってやる。そこで色々情報交換しようじゃない」



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