第8話覚醒
「ふぁぁー」
俺は森の道の真ん中に寝ていたが、あくびをし、起き上がる。
今は太陽が東の空に出ており、まだ朝ではないだろうか。
今日は非常に涼しく、昨日の暑さはどこへ行ったのだろうか。
「さて、それじゃ、行くか」
俺は光がある、森の出口らしきところへ目指して歩いた。
それから森を出て、約1時間くらいで街の目の前に着いた。
俺はその街に入るところだが、約20メートルくらいの大きな門の前には衛兵だろうか、それらしき人が2人、門の左右に立っており、槍を携えている。
2人の形相が鋭い。
俺は堂々と胸を張り、門を潜ろうとしたが、右にいる衛兵らしき人に声をかけられた。
「おい、お前!何勝手に入ろうとしているんだ!見慣れない顔だがどこから来たんだ?」
「え、えーと」
この国に対して何も知らなすぎる。
こういう時の対処法として、東の国から来たとか言ってみよう。
「東の国から来ました」
「東の国というとまさかグレフォニアか?」
「はい、多分そこです」
「おい、グリア、この若僧を捕らえろ、敵国からのスパイかも知れない」
グリアと呼ばれている左に立っている人が急に俺の腕を掴み、強引に連れ去ろうとする。
「ま、待ってください!俺はスパイではないです、信じてくださいよ」
いきなりのスパイ宣告で慌てる。
「否定しても信じられるわけないだろー、戦争中の国からわざわざご苦労なことで、しかも自分からグレフォニアから来ただなんてグレフォニアの人からしたら人選をミスっておっしゃる、バカすぎるにも程があるぞ」
異世界転生でよくある、東の国から来たと言っただけなのにこれほど大ごとになるものなのか⁈
俺は数秒前のことを悔いた。
「本当に違うんですよ!どこから来たのも分からなくて、適当に言っちゃたんですよ!」
「世の中ってのはな、そんな簡単に出来てるわけではないぞ若僧、嘘が見え見えですぞ」
とてもうざいのでこいつの顔面を殴ろうとするがギリギリのところで抑える。
これ以上大ごとになってはならない。
「何だその目は?文句でもあるのか?」
殺気をもたらした目で衛兵らしき人を睨むことで我慢する。
「いえ、何でもないです」
「早く、監禁室に連れてけ」
「わかりました。その前にダウリン隊長、こやつ、いいもん持ってますぞ」
グリアと呼ばれている人物が俺の左、人差し指にはめられている指輪を無理矢理取り、隊長に渡そうとしている。
これはリアにもらった大切なものなんだ、リアが大切にしてたものなんだ、それを人に渡すだなんて考えられない!
「おい、やめろ!」
俺は腕を振りほどこうとするが、グリアの腕力の方が優っているせいか一向に解けない。
「ほほーん、これはかなりいい指輪だな、そこらで売ればいい値がつくに違いない、よし、これはわしが預かっておこう」
グリアからその指輪を受けて取り、上着のポケットにしまった。
どうせ、自分の金に変えてしまうのだろう。
「返せ」
「何だ?聞こえないぞ?」
「返せ!それは大切な人にもらった指輪なんだ!簡単にあげられる代物ではないんだよ!」
俺は殺気をもたらしている眼光で睨みつける。
「む、無理だね、残念だが諦めな。その前にお前は監禁室に入り、拷問を受け、死刑にされるがな!あっはははは」
少し睨みつけられて怯んだが、自分が今優位にいることを気づいて、俺を侮辱する。
「殺す!」
「なに?聞き間違えかもしれない、もう一回言ってみ?」
「殺すって言ってんだよ」
「ふははははは」
憎たらしい笑い声で大きく笑った。
「何を冗談な、わしの実力は衛兵の中でも上位クラスだ、こんな若僧にやられる訳がない」
「じゃあ、試してみるか?」
俺はグリアのの男の大事な場所にめがけて、右足で後ろ蹴りを放った。
「い、いたたたた、こいつ!」
「何してるんだグリア!早くそいつを捕まえろ!」
俺はすぐに、倒れているグリアに向かって思い切り、お腹に向けて蹴りを入れた。
「うゎっっぐっ」
そのままグリアは横になり、その瞬間を見計らって後ろしあった、短剣を盗み取り、隊長に向けて構えた。
「早く、その指輪を渡せ!さもないとこいつを殺すぞ」
「好きにしろ!グリア、お前は使えるやつだと思ったがわしの勘違いだったかもしれないな。わしがその程度の脅しで渡すと思うか?そいつは誰でも変えがきく、さっさと殺してしまえ」
「最悪だなお前!自分の仲間をそんな簡単に見捨てられるのかよ、見捨てられねぇーだろ普通、クズでよかった、なら気を落とさずに済むぜ、お前を殺してでも奪ってやる」
「かかってこいよ若僧!そんな若い奴にわしが負けるはずはないがな」
「余裕かましてると、足元救われるぞ」
俺は隊長に向かって短剣を投げて、それを隊長は手で止め、手に穴が空いて血だらけだ。
「くそ!死ねーー」
自分が傷を負ってか、さっきよりは殺気だっている。
俺はそのまま、隊長の懐に入り、顔面に一発殴ろうとするが、腕で防がれてしまう。
カウンターで蹴りを腹に入れられ、後ろまで吹き飛ばされてしまう。
その間に隊長は、
「わが、漆黒の槍、放て!ダークブレード」
と、術名を唱た。
隊長が右手に持っていた、槍を俺に向かって、黒い靄を槍にもたらしながら、俺を目掛けてものすごいスピードで放った。
俺は目の前に槍が迫ってくることにそれほど危険性を感じなかった。
むしろ、こんなものか、という残念な気持ちになっている、多分マンモスとの一戦で成長したみたいだ。
マンモスの時の力は出せないが、その半分くらいは出せるような気がする。
俺は漆黒の槍が目の前を届く瞬間に避け、その槍を持ち、回転しながらその遠心力を使い、そのまま隊長に投げつけた。
「な、なんだと!われの魔法を素手で投げ返してきただと⁈」
隊長は絶望感したかのように驚いた。
だが、隊長ももう諦め、俺も殺せたと思ったが、
リアの魔法反射の指輪が効き、隊長の周りに大きな防御障壁が作られ、そのまま、槍を弾き返した。
「こ、これはこの指輪は神器級の、いやそれ以上の代物なのか、なんという幸運、なんかいう神からの導き、この神器、絶対何が何でもわしのものにしてやる、貴様ごときには似合わん」
その時だ、空からか、どこからか分からないが、 俺に迫ってくる槍を赤い炎が焼き尽くし、消滅させた。
「そこまでよ!」
俺がその声の方向を向けると、胸と膝、腰には鋼の鎧が付いており、袖は赤い服で統一されていて、それで泥だらけだ。顔はとても整っており、誰もがすれ違えば目で追ってしまうほど美しい、髪は赤色で後ろで束ねてある。彼女も門に入ろうとした所だったが俺たちが揉めているので止めに入ったようだ。
それが彼女との出会いだった。
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