第29話 大戦争に横槍をぶち込もう
勇者共と行動を共にしだして、あれから9カ月、ついに魔界への門が開き、人間達が魔界へ進軍して来た
「やっと来たか人間共…」
その勇王軍を私は勇者共と共に準備を整え魔界で待ち構えていた
「くぅ~!待ちくたびれたぜ。フラン、バルディ、準備出来てるか」
「私はいつでもOKよトム、訓練の成果見せてやろうじゃないのさ」
「さすがは勇王、知ってる顔が多いですね、勇者の大連合ですか…。そちらは如何ですか我が死」
「魔王軍の方には全くと言っていいほど知っている顔が居ない…、逃げたな」
私の言葉を聞いてエルウッドが顔を背けながらも発言した
「そりゃあ、公然とここに集まったヤツ皆殺しにします宣言してたらなぁ、バルトの実力知ってる奴は来ないだろ」
「ちゃんと集まる様にも通告したぞ、本当に恐れを成しているなら来るはずだ。後でで覚えておれよ…。つまらん、まったくもってつまらん・・・」
私の態度を見てフランチェスカが戯言をぬかしてくる
「そんな誕生パーティを開いて、友達が来なくて不貞腐れた子供みたいな顔をしないでよバルト」
「不貞腐れてなどいない」
「虫けらを見る様な目をするのも止めてくれませんかね! 怖いよ本気で!」
フランチェスカは怯えたが、バルディは笑っていた
「なんと言う殺気ッ、このまま殺してくれたらどんなに幸福か・・・。我が死よ、勇王軍の聖騎士隊が祭壇を配置したの確認できましたので、手はずどうりに」
「うむ、一番槍はゆずってやる、行けバルディ」
「ハハ、私は元尖兵でもありますので慣れたものですよ。ではサックっと逝ってきますね」
バルディは自分を殺害し、聖騎士隊が置いた祭壇から復活し行動を始めた
「何者だ!?」
「僕ですか? 今はそうですねぇ、死神みたいなものですよ」
バルディは背負っていた
「攻撃成功だ。次」
「OK! 魔族軍と勇王軍の間に割り込むよ!」
フランチェスカは錨を外し、私達も乗っている船を発進させ岩山を滑り降りた。エルウッドが何やら喚いているが
「やっぱ船って山を滑り降りるもんじゃないだろぉ! 本当に大丈夫なんだろうなフラン!?」
「波に乗れるだけじゃあ船乗りとしちゃ三流さ、風にも乗れないとね!」
その風は私が起こしているのだが、あえて触れないでおこう。しかし揺れが酷く乗り心地は最悪だ
「ズシャアアアアアアア!!」
なんとか両陣営間に入り込んだ船は全砲門を開き無差別に砲撃を始める
「対魔弾、対竜弾、対霊弾、対人弾、良いとこ全部総取りで選んだ贅沢仕様、全部もってけ!」
「ドン!」「ドン!」「ドン!」「ドン!」「ドン!」「ドン!」
見事な砲撃だったがそれでも両陣営の勢いは止まらず船まで接近を許してしまったが
「ピキッ!」
ひび割れた船体から中の家畜が脱走し大混乱になった。ちょっと悲鳴に耳を澄ませてみよう
「なんで大量の羊がぁ!?」
「鶏に兜持ってかれた!」
「ん!? 首ごと持ってかれてる奴が居ないか?」
なかなか効果的だった様だ
「ちょっとバルト!ぼーとしてないで次!」
「そうであったな、覚悟しろエルウッド」
次の一手を撃とう
「なあ、本当に大丈夫なん・・・」
「黙って飛んで来い!」
私はエルウッドを魔族軍のど真ん中に放り投げてやった
「うっわああ! ぐべし!」
魔族もエルウッドに気付いた様だ
「なんだコイツ、鎧の種類がバラバラじゃないか」
「道具も大量に持って、戦場漁りか?」
「性能重視で選んだらこうなったんだよ! テメエらも肉ごと混ぜ合わせてバラバラにしてやる!」
エルウッドが戦闘に入った、私は…適当に3人の邪魔にならない様に殺るか
「130… 158… 296! 見てますか我が死!」
バルディが倒した敵を数えながら叫んでいた、続いてフランチェスカも
「968! 1305! 1840! まだまだ行くよ!」
エルウッドも数えている
「3024、3704、4675! うりゃあ!」
私もやってみるか
「3万7千! 12万8千! 17万8500! ふはは!吹き飛べ!」
意外と楽しいではないかと思って油断していると、つい錯乱した兵士の雑音が耳に入ってしまった
「羊が110匹…、羊が203匹…、羊が・・・・」
「急に数を数えるのが馬鹿らしくなってきた・・・。むッ!」
何となく放った魔力がマズい相手に当たり、魔力が跳ね返って来た。下半身が抉れたが直ぐに元通りに再生させる
「久しいな!先代魔王よ!」
「ああ! 王自ら出陣か勇者の王よ!」
オリハルコンで身を固めた勇者の王、デューク・クプウルムが現れた
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