第106話~チックは成長が早かった!
82日の光の刻にINした私達は、緑コケを届ける前にチックに会いに行く事にしました。
「ピ~!!」
「お帰り。二人共」
チックは私達を見ると嬉しそうに頭上を飛び回ります!
もう飛べるようになったんだね。
「随分、成長が早いんですね」
ユージさんが、驚いて言いました。
うんうんと私も頷きます。
元気にもなってますが、大きくもなってます!
見た目で言えば、小鳥ではありません。
全体が青と白が入り混じり、くちばしはグレー。大きさはカラスぐらい。つまり普通の大人の鳥ほどに成長しています。
10日ぐらいですごい成長です。
「きっと大きくなるぞ」
ヒムネさんにそう言われ私達も頷きます。
やっぱり普通より成長が早い様です。
「でだ、このままだとエサが足りなくなるだろう」
「思ったより成長が早いですから食べるんでしょうね……」
ヒムネさんの言葉に、ユージさんも苦笑い。
「リャンさんからエサを貰ってきてからコケを持って行こうか」
「うん」
私は、ユージさんの意見に賛成し、大きく頷きました。
◇
「もう、なくなったって!?」
チックのエサをもらいにいくと、リャンさんは驚いています。
どうやら食べるのも早かったようです。
「悪いけど、あれ30日分だしもうタダではあげられないな……」
「そうですか……。あのちょっと質問ですが、大人の鳥でもそのエサは食べられますか?」
「大人? 違う鳥にもあげていたのか? 食べられるけど栄養が足りなくなるかもな。普通は木の実やミミズなどだろう。ここには、大人用のエサはない。申し訳ない」
「あ、いえ。ありがとうございます。自分で何とかしてみます。あ、そうだ。あの子は、チックという名前になりました」
「そうか。大切に育ててもらっているようで安心した」
それではとリャンさんの所から私達は立ち去った。
さてどうしましょう。ライマルさんの所から大人用のエサを頂こうかな?
ユージさんが大人用って聞いていたからチックは大人用がいいんだよね?
「ねえ、ライマルさんのところのさ……」
やっぱり貰いに行くのね!
「畑の土って何かに入れて持って行っても効果あるのかな? でもあれ、魔法陣があそこにあるから良質な土なんだよね?」
「うん? 餌を貰いにいくんじゃないの?」
「あ、ごめん。えっとね。30日分を10日で食べちゃったでしょう? きっとエサをもらってもあっという間になくなるとおもうんだよね。だからさ畑を作ってミミズをと思ったんだけど、あそこ魔法陣を描けないでしょう?」
「あ! なるほど!」
ミミズをエサにするのね!
あの魔法陣があるからよい土のままだから持って行ってもダメかもしれない。
「本で何かないか見てみるわ!」
「うん。お願い!」
ぺらっとめくると、ありました!
プランター版が!
「プランターがあるみたい!」
「あぁ! なるほど!」
私達は、歩いていた道端でそのまま作業する事にしました。誰もいないしね。
いつも通り私が粘土の魔法陣をユージさんが粘土にする為に土に魔石の粉を混ぜます。
これで土を入れるプランターを作ります。
土は、畑と一緒で畑の土です。
クワは部屋に置いてきているので、混ぜ終わったユージさんはワープして部屋に戻りました。
テントを張ればワープで、今度はここに戻ってこれます! テントを張った私は、窯の魔法陣を描きます。
「ただいま!」
「お帰りなさい!」
取りに戻っただけなので、ユージさんはすぐに戻ってきました。
そして、脇の土を掘り起こします。この土をプランターに入れる予定です。
粘土にしておいた土で、プランターを作っていきます。形は円形。魔法陣を描く予定なのでそうしました。
ユージさんと私で二つ。できるだけ大きく作りました!
……二つとも私が入れるぐらい大きいです。大きすぎたかな?
出来た二つをそれぞれ窯に入れ、五分待ちます。
出来上がったプランターをひっくり返し、裏に魔法陣を描くのです。
後は畑と一緒で三時間後、入れた土が良質の土になります。
これは屋外用で、必ず虹の刻の時に雨にあたる様にしなくてはなりません。要は、水やり不用だそうです。
これにユージさんが耕して出来た土を入れていきます。
「できたね! ご苦労様」
「うん。ユージさんもご苦労様」
テントにクワを入れてそのままにしておいて、私達はヒムネさんの所にワープ。
私はプランターに抱き着いて、ユージさんは持ってワープです。一応抱き着いていても持っている事になるようで、無事二つとも森まで運べました。
「何だいそれは?」
「よいしょっと。これは、チックのエサになるプランター。三時間後にこの土の中にミミズが発生する様になります」
「なんと!」
プランターを止まり木の側に置いて、ユージさんは質問をしてきたヒムネさんに教えました。
私が持って来たもう一つも並べます。
人の姿をとっていたヒムネさんは、プランターを上からのぞきます。
「凄いな! この森に良質の土とは!」
ヒムネさんは、歓喜の声を上げました。
私達は、名残惜しいですが緑コケを届けに向かう為森を出ます。
これでエサの心配はなくなりました。よかったぁ!
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