第78話~品種改良
他の人にボコられたりしないかな?
「安心しなさい。ユージさんは大丈夫よ。盗み聞きした人が嘘だと知らずに流した事になるから」
不安に思っていると、ミケさんがそう言ってくれた。
「ありがとうございます」
「いや良いって事よ」
横に居たラキガさんが、ミケさんに抱っこされた私の頭をわしわしと撫でる。いや髪をぐちゃぐちゃにした。
「100ポイント分のカカヲ鉱石で手を打った。あいつも俺に頭上がらないだろうし」
ラキガさんは得意顔で言いました!
取引していたのね!
これで、森から皆離れてくれるといいんだけど。
「お待たせ。ありがとうございました」
さっきの人影がない場所で待っていると、ユージさんが現れラキガさんに頭を下げた。
「いや、こっちは損どころか得したからな」
「これで森から皆撤退してくれるといいんだけど……」
ため息交じりでユージさんが言った。
してくれないと、困るんだけどね。
「あのそろそろ……」
下ろしてほしいです。ミケさんの顔を見て言うと、残念そうにしながらも下ろしてくれました。
「心配かけてごめんね」
「私は大丈夫」
ユージさんにそう返すとにっこりほほ笑んだ。やっぱりユージさんには、笑顔が一番です!
「うんじゃ、楽しみに待ってるからな」
「はい。必ず」
「もうさっきは、びっくりしたよ。でもラキガさん達って優しい人だったんだね」
「うん。しつこくつきまとう人達って思っていたけどね。一旦部屋に戻ろうか」
「うん」
私達は、部屋に戻った。
ユージさんは椅子に座ると、ふぅっと息をはく。
「緊張した~」
「ラキガさん。名演技だったもんね」
「あはは。あれは信じるよね。ごめんね。勝手に取引して、カカヲ鉱石の袋10個分渡さなくちゃいけなくなった」
そう言って袋を私に見せる。
「10袋分くらい私にかかればすぐよ! さあ! 発掘に行きましょう!」
私がそう言うと、ユージさんはありがとうと頷いた。
◇
「よし110袋! ありがとう。ソレイユさん」
あれから迷宮でカカヲ鉱石の発掘を九時間。少し休憩を挟んで行った結果、目標達成です。
ラキガさんから預かった袋10個と私達の100袋。これで恩を返せて、肥料とも交換出来ます。
私達は部屋に戻ると、また昨日の様に私が並んでユージさんがカカヲ鉱石を持って来る方法で運びました。
「何か森の方は落ち着いたみたいですよ」
お兄さんがこそっと、私達に耳打ちしてくれました。
「その節は、ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ。これ、お願いしますね」
そう言ってお兄さんは、ユージさんに書状を渡します。
そう言えば、ロウさんに渡されていたんだっけ。その返事かな?
「はい。明日渡しに行きます」
「お願いします。じゃ処理終わりましたので、タブレットで確認をお願いします」
私達は部屋に戻りました。
「今日もここでログアウトして、明日森によってから畑だね」
「うん。実がなっているか楽しみ!」
ユージさんが頷く。
「僕はこれからラキガさんにこれを渡しに行ってくるよ」
「あ、じゃ私がタブレットで肥料と交換しとくわ」
「うん。宜しく」
ユージさんは、ラキガさんに渡す袋持って部屋を出て行った。
「さてと……。あ、今回ポイントが1000いかなかったのね。でも★は9個と交換できるから大丈夫っと」
今回のポイントは、984。前回の残りのポイントを足しても1000に届かずです。
私は★に交換した後に、その★を全部交換して肥料三つ手に入れました。
そして、タブレットで一人、色々見てみるのだった――。
◇
次の日の26日は、まずはロウさんに書状を持って行く事になっていたので森に向かうと、ほとんど人がいなくなっていました!
ユージさんの嘘だったという噂は無事、広がってくれたようです。私達は、胸を撫で下ろしました。
ロウさんに書状を渡し、畑に向かいました。
畑には真っ赤に色づいたトマトに可愛い朝顔が咲いていて、とうきびもなっていました!
で、お目当てのカカヲの実はと言うと、トマトととうきびにそれぞれ二つずつなっていて、4つずつ収穫できました!
本当に早熟肥料のところは、一日で実がなりました!
色はチョコレート色。形は、ほおずきの様な形です。大きさは、縦の長さが二センチ程で可愛く一口サイズです。
カカヲの実というのは、溶かすとチョコになるらしい。でも手に持ったぐらいでは溶けません。粉々にしないといけないらしい。
で、チョコにしてしまうと、カカオの実の効果がなくなるようです。そして、MP回復の食べ物に変身する。
どっちがいいかは、その人次第です。ランダムの効果をとるか、それともMP回復の効果をとるか。
でも味は、何も加えなければ同じみたいです。
収穫したカカヲの実は、混ざらない様に二手に分けてユージさんは地面に置きました。トマトとか収穫して棒を抜きます。
絡まったツルを外して、棒も地面に置きました。
「さてと、とうきびはライマルさんに持って行くよ。ちょっとまってて」
「うん」
ユージさんは、とうきびを持ってライマルさんの所に行って10分後戻ってきました。
「さてと、じゃ僕は品種改良してみるね!」
「うん」
そして一時間後。
「よし出来た!」
ユージさんは、三種類作ったようです。
トマト×トマト。トマト×とうきび。とうきび×とうきび。
ユージさん曰く、たぶんランダムではなくて掛け合わせだと思う。だそうです。
「たぶん、食べられる物じゃないとカカヲの実はならないんだと思う。朝顔にはならなかったからね。だから今回は、いちごを植えようと思う」
「いちごも用意していたんだ」
「昨日、カカヲ鉱石を渡しに行った帰りに、買っておいたんだ」
ユージさんは、用意周到です。
今回は、改良した三つを早熟肥料の方に植えます。残りの場所にいちごを植えました。
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