第20話~きゃー苦手なんです
「ねえ、ユージさん、何か考えついた?」
「うーん。まだ」
私達は次に何を作るかを座り込んで考えていた。別に陶器造りにはまった訳ではない。
水筒の水は、十分後元の水に戻ったけど、マグカップにある水はそのまま光り輝き続けていた。つまり、効果は持続している。
ユージさんは、このままこの水をここに捨てて魔石なったらマズイかもしれないからと言うので、この水も使ってまた何かを作る事にしたのです。
水筒の水は湧き出るので、循環している事になっているみたい。
「って僕達、ここに来た目的変わってない?」
「変わってない。変わってない。ちゃんと発掘はしますって……きゃー!」
迷宮内を駆け巡るほど大きい私の悲鳴が轟いた!
「どうしたの?!」
耳を塞いだ手を下ろし立ち上がりながらながら、ユージさんは聞いた。その彼に私は抱き着く!
「へ……び……」
ユージさんの胸に顔を埋め、指だけさして場所を示す。
「本当だね」
「蛇だよ!? 何でそんなに落ち着いて!」
「この世界で恐ろしいのは魔物だよ? 蛇は獲物! 僕達の食料なんだけど……」
「えー!! 食べる気なの?!」
抗議するように私はユージさんを見て叫ぶと彼は困り顔になる。
「別にこの世界では食べ物を食べなくても生きてはいけるけど、食べ物はHPを回復する手段だからね。魔法が使えない僕達には貴重な物なんだけどなぁ……」
「今は必要なくない? 二人共HP満タンだよね?」
「でもスタミナ減ってない? 蛇はスタミナも回復するよ」
「う……」
まだVITが少ないので、ってすでに11%しかない!?
さっき回復したのに……。
思ったよりスタミナの減りが大きい。魔法陣を描いたりするのは、今までとは違ってスタミナを使うみたい。
「蛇は他と違って、HPよりスタミナの回復が大きい。自分の手の平ぐらいを食べると30%も回復するんだ。狩っておいた方がいいと思うけど?」
「うう……」
確かにそうかも。今はリフレッシュじゃ、追いつかないかもしれない。
でも、私食べれるのかしら?
それにどうやって捕まえるのかな? 私はそういう武器すら持ってない。
「ねえ、どうやって捕まえるの?」
「これで……」
ユージさんは、自分のリュックの中からナイフを出しカバーを外して見せてくれた。
「これはサバイバルナイフ。狩り用の武器なんだ」
「狩り用……? じゃ、魔物を倒すのとは別って事?」
ユージさんは頷く。
「このナイフで魔物に攻撃しても多分攻撃は与えられないと思う。これ自体には攻撃力はないし、僕もSTRには1000も振ってないから。だから狩り専用なんだ。というか、僕がこれで魔物に攻撃しても、無駄にスタミナを減らすだけだと思う」
「へぇ。そういうもんなんだ……」
初めて知った事実。武器は、戦闘用と狩り用と二種類あった!
「獲物は攻撃するけど、ダメージを与えて倒すわけではないのね」
「うん。獲物は急所があってそこを攻撃するか、首を切り落とすのが基本かな」
「切り落とすって……。食べる以前に私には無理だわ」
想像しただけで、背中がゾワッとする。
まあへびには首はないけど……。
「大丈夫。こういう事は僕がするから。君は錬金術師になる為に邁進してくれればいいよ」
「ありがとう!!」
あぁ。ユージさんがいてよかった!
まさか狩りをしながら旅をしなくてはいけないなんて思わなかった!
「さてと、狩りますか」
蛇は私達が話している間に逃げればいいのに、頭を上げ口からちょろちょろと細長い舌を出したり引っ込めたりして様子を伺っていた。
ユージさんは、ジッと蛇を見つめる。始めてみる表情。凛々しいというか……なんかうっとりしちゃう。
シュ!
ナイフが蛇に向けて投げられ、見事に頭に突き刺さった!
切りかかって仕留めるかと思っていたから、投げナイフとは思わなかった。
パチパチパチ。
私は、拍手する。
「すご~い!」
「いやぁ。それほどでも」
そう言いながらも嬉しそう。でも、ナイフで刺したまま蛇を持って近づかないでね!
「これ、今食べる? 後にする?」
「あ、今がいいかも。言われて見てみたらスタミナが10%ぐらいしかなくて……」
「え! 10%! 基本は30%切ったら休むか回復するかだよ! 兎に角横になって! 僕は蛇を焼く用意するから!」
ユージさんは、慌てて私を横に寝かせた。リュックを枕にしてユージさんの作業を見ている事にする。
これ貸してと軍手をはめている。勿論グローブを脱いでつけている。あの軍手伸びる事が判明した。
それで地面に穴を掘り、そしてリュックから棒のような物を取り出して、蛇を……。
「ダメ~!!」
私の叫んだ声にビクッとしてユージさんは驚いて、私に顔を向けた。
だって! 軍手で蛇を触ろうとするから……
「それで蛇を触らないで!」
ユージさんは、あぁっていう顔をして軍手を脱いで私に渡してくれた。
「はい。蛇嫌いだったね。ごめんごめん」
そう言った時、数名の足音が聞こえ始めた。洞窟内に響く。
それは走っているようで、すぐに私達に到達した。
「大丈夫か!」
その声に私はユージさんから声のする方へ顔を向けた。そこには、ケモミミの二人が立っていた――。
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