女神よしえはパーマネントミセス

次に僕が見たのはどこまでも続く平原と、1人の女性だった。


確かローブの女性は、世界を救うための相棒として、可愛くて優秀な女神様が付いて来ると言っていた。


しかし、僕の横にいたのは、チリチリパーマのおばさんだった。


もしかして、この人が女神様だろうか?ずいぶんと個性的なヘアースタイルでありますが。というか、本当に異世界に来たのだろうか?


女神様とやらに釣られて、詳細を全然確認しないままにボタンを押した事を後悔した。


「・・・あの、すいませんけど、どちらさまで?」


とりあえず聞いてみる。もしかしたら元々この世界の住人で、通りすがりの人かもしれないし。


「ん?私か?あぁ。私はよしえ。女神よしえや。」


このチリチリパーマのオバサンはやはり女神様で、名前をよしえというらしい。


「・・・はぁ。よしえさんですか。女神様の」


「せやで。なんか文句でもあるんか?・・・ところで、兄ちゃんは?兄ちゃんの名前は?」


なぜか関西弁の女神様は、僕に名前を聞いてきた。


「え・・っと、まさよしといいます。」


「まさよしか。なるほど。マー君やな!ほなこれからよろしくな!」


そういって握手しようと手を差し出してきた。その手には深くシワが刻まれ、彼女の生きてきた年月の長さを感じた。


「・・・よ、よろしくお願いします」


よしえさんの手は、ほんのり湿っていた。


「さ!ほな、これからマー君と一緒に魔王退治に向かうわけやけども、とりあえずどないしよか?」


どないしよかと言われても・・・。そもそも異世界に関する知識が欠片もない。というか、なんだこれ。完全に騙された。


「まずは、街を目指したりするもんなんじゃないですかね?ここただの平原だし。」


「よっしゃ!ほな、まずは街やな。・・・ちょっと待っときや。」


そう言ってよしえさんは目を閉じてなにやらブツブツいい始めた。


「・・・ん~~~。あっちや!あっちの方向に人の気配がするわ。行ってみよかマー君!」


よしえさんが指したその方向には、確かになにやら街が見えた。目を閉じてブツブツ言うから、何か不思議な力で探したのかと思ったのにどうやらそうでもないらしい。


周りにほとんど何もない草原なので距離感がいまいち掴めないけど、見えるって事はあるという事なので、歩けばそのうち着くだろう。


このままここに長居して夜になって、いるのかわからないけどモンスターにでも見つかったら面倒に思えた。


「じゃ、じゃあ、とりあえず向かってみますか。」


僕とよしえさんはまず街を目指す事にした。

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