肉屋


ある日

肉屋がセスナに乗り込み

虹の上に着地した

すると早速、産地が自慢の牛肉をばら撒き始めたのだ

それは岩のような肉塊だった

下を歩く通行人たちの頭に直撃した

ある場所では

若い恋人たちの片一方にだけ当たってそいつが死んで

残された方が涙を流したりしていた

あるいは誰もいない道路に落下して

誰にも気付かれず腐敗したりしていた

けれど腹ぺこの家族の元へは一つも落ちては来なかった

「うまくいかないものだな………」

そう呟き肉屋は虹の上を後にした


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